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そこはかとなく

そこはかとない記録
2022
07,17
本日もやはり原稿できず(゚∀゚`)
引っ越しで荷物移動は終わり。明日から整理の日々…
腰の調子が良ければ子の昼寝中に少し進めたいなぁ。

ハイ、山羊蟹ネタ話はまだ終わらない!
こうついダラダラしてしまうので、短くまとめられない…
一気に聖域到着して別の日に吹っ飛ぼうとか思っていても結局まだ帰るまでが遠足です状態。
そろそろコレも1万字(・∀・)もう漫画にできる長さではない…

ーーー

帰りも依頼主の送迎で聖域近くの街まで送ってもらった。
飛行機や車やら乗り換えがある度に俺はシュラに起こされては手を引かれ、また爆睡を繰り返した。
その様子を微笑ましく見ている大人には「いつもと布団が違って眠れなかったかな?」とか言われたが、ムカつく元気も無かった。

「おい、もう聖域まで寝れないぞ、歩けるか?」
「うん……」

「ずっと寝てただろ?どんだけ眠いんだお前は!」
「んー……目は覚めてんだけど、体が怠いんだよぉ…」

俺は近くのベンチまでヨロヨロ歩いて寝転がった。

「俺さぁ、もう少し休んで行くからお前先に帰れよ」
「はぁ?報告とかあるだろ…」
「俺がやっておくからいーよ、お前先に帰って休んでいいぞ」
「……」

シュラが動く気配がしたので先に行くかと思ったら、ベンチ裏に広がっている芝生の上に荷物を置いて寝転がる音がした。
ベンチの背もたれから覗くと、やはりシュラは木陰でゴロンと寝そべっている。

「はぁ?どうしたんだよ」
「俺も疲れたから休んでいく」

「俺の真似すんな」
「そもそもお前の荷物も持ったり誘導してやったりしてたんだぞ?疲れないわけないだろ」

「……好きにしろ。黄金聖闘士のくせに」
「お前もな」

どうせシュラは疲れてなんかいない。俺が動かないからこいつも動かないんだ。
俺がもし、ここでテレポートして消えたらどう思うだろう?
休憩した後も一緒に歩いて帰る保証無ぇじゃん。

「……」

そんな意地悪をする程、俺は別にこいつを本気で嫌っているわけじゃないのは自分でわかっていた。
喧嘩で始まったのは聖衣のせいだし。
ムカつくことも多いけど、俺が勝手に痛いところ突かれてムカついてるだけだし。
そんなの自分がカッコ悪いだけってのくらいわかってるし。

「……」

俺はシュラがずっと運んでくれてた鞄を開けて、中からお菓子を取り出した。

「おい、一緒に食べるか」

お菓子の袋を見せて声をかけると、あいつは驚いた顔をしてからフッと笑った。

「これは運んでくれたお返しだから」
「そういうとこ、やっぱしっかりしてるな」
「そうやってイチイチ褒めるのいらねぇんだよ」
「ハハッ、すまん」

俺もベンチから芝生で寝そべって一袋のスナック菓子を一緒につまむ。
こいつが同じ歳の俺に期待していたのって、こういう関係だったのかなぁとか考える。

食べ終わって、もう少しゴロゴロして、さぁ行くかと立ち上がった時に俺はシュラの手を取った。

「……どうした、お前」
「あー…、変な事はしねぇよ、ただお前だけ置いてくのアレだから」

「?」

「離すなよ」

「?!」

ギュッと強く手を握って、ぽかんとしているシュラの目を見て笑いかけた瞬間、俺たちは煙を巻くように消えた。

ーーー

「へへ、お前ずっと同じ顔のまま」

俺の声にハッとしたシュラは辺りを見回す。

「聖域…?テレポート、使ったのか?」
「そ、別の人間も連れてくなんて俺も初体験だったけど」

「どう?」

「凄いな、光速移動とは全く違う」
「アレ何か息が止まる感じが嫌なんだよ」

握っていた手をスッと離して12宮の入り口を見上げる。

「じゃぁあとは上るかぁ〜」

2人して他愛もない話をしながら階段を上っていった。
俺、やっとなんか吹っ切れて普通にしていられるかも。
そんな事を思いながら、順番に宮を通過して行く。

「シュラ!お帰り〜」
「任務終わったんだね、シュラ」

聖域の中を一緒に歩いていて気付いたが、シュラは色んな奴から声がかかる。
こいつ意外と人付き合い良いんだな…
逆に俺は誰からも声なんかかからないし、すれ違う奴らが誰なのかもよくわからない。

「お前って案外、顔が広いんだな」
「は?」
「顔見知りばっかりじゃん、俺全然知らねぇのに」
「そうか?毎日この聖域で暮らしてる仲間だぞ?」
「……」

聖衣騒動の影響も大きかったが、俺は黄泉比良坂にいる事が多くて聖域社会には馴染めていなかった。
隣で知らない奴とどんどん挨拶を交わしていく姿を見て、俺はだんだん無口になっていく。
2人だけになればシュラから話を振ってくるが、適当に返事を返すだけ。
上り始めた頃より静かになった俺を見て「疲れたのか?」とか聞いてくるけど、別にそうじゃない。

何か面白くない。

隣にいても、生きてる世界が全然違う気がする。昼と夜みたいな。
気のない返事を返す俺を気遣ってなのか、次第にシュラも俺に話を振らなくなっていた。

「あ、デスー!終わったのかー?!」

遠くから、初めて俺の名前が呼ばれた。
気付けばもう双魚宮。魚座の黄金聖闘士アフロディーテの声だった。

ーつづくー

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