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そこはかとなく

そこはかとない記録
2022
07,24
腰痛の影響もあり原稿はほぼ進まず…明日から…(もはや夏休みの課題を積む小学生の言い訳)

ネタ話は何か一気に終わりました。
これちゃんと話繋がってると言うか辻褄合ってるかな?毎回勢いだけで書いてたから。
トータル18,000字であります。会話だけの所とかわかりにくいけどご容赦ください。

さて蟹座期間も終わったのでネタ投稿は一先ず終わります(゚∀゚)ノ
ブログ投稿間隔も前みたいに週1くらいになるかな。
お付き合いいただきありがとうございました。
またたまに書いたら載せますね。

編集する時間があれば、今回のネタ話をまとめてpixivにも残しておこうと思います(・ゝ・)b

ーーー

法衣を着た男の姿はパッと見、シオン様と同じだった。
指摘されれば金の髪色が少し違うという程度で。
しかしよく見れば顔を覆い隠すマスクの辺りから黒い毛が見え隠れしていた。

「…叱責する事くらいあるだろうが、シオン様はデスマスクにこのような暴力はしないだろう…」

シュラも、気付いたのか。

「では、私は誰なのだろうな?」

…わからない、今まで聖域で感じた事のないコスモ。
まさか、本当に聖域外から…?!

「それよりシュラよ、その姿は逆賊を仕留めてくれたと思って良いのか?アテナが見当たらないが?」
「……シオン様でないのなら、答える必要がないだろ」

「今日からこの聖域を統べるのは私だ」
「勝手な事を」

「聖域だけではない、今にこの世界全てを支配する事になる!」

「いい加減にしろ!!」

シュラがエクスカリバーを放ったが、法衣の男は見切っているとばかりヒラリと避けてみせた。

「わざわざ手加減してくれたのか?」
「っ…!」

「な、なぁシュラ、俺は離してくれていいから、このままじゃ動き辛いだろ?」
「ダメだ、もしまた生身のお前が狙われたら守り切れない!」

「クク、お前たちは未だに聖衣の影響を受けているのか」

…こいつ、知っている…?!

「聖衣を脱げばデスマスクを守る義理も無くなるだろう、そもそも私はお前たちを殺すつもりはない」

「シオン様は殺しただろう!」

「邪魔だったからな、さすがに聖闘士皆殺しにして手駒がいなくなるのは困る」
「黄金とは言え、まだ子どもであるお前たち2人がかりでも私を倒す事はできぬ」

法衣の男は教皇のマスクに手をかけ、そして素顔を現した。

「?!」
「!!」

「知っているだろう?私の強さを」

毛先は金髪のままだったが、根本から隠れていた部分までの髪が黒くなっていた。
ただ、それだけで。
目の前にいる男は双子座の黄金聖闘士、サガだった。

「なぜ…コスモが、違う…」

「なぜ?か。お前たちが知るサガとは違うだろう?どちらが本物だろうなぁ?」
「アイオロスに見つかり、アテナを誘拐していくとは思いもよらなかったが」

「アテナを誘拐?!…じゃあ、お前が討ってきた逆賊って…」
「……」

「シュラよ、アイオロスをどうした?その血はアイオロスのものか?」

ゆっくりとサガが俺たちに歩み寄り、目の前でしゃがみ込む。
シュラの聖衣に付いた血を指で拭い、舐めた。

「デスマスク、私の代わりに聞いてくれないか?アイオロスとアテナはどうなったかと」
「…は?…んなこと…」

「デスマスクよ、さぁ」

サガの手が伸びてきて、シュラから俺を引き剥がそうと胸ぐら掴まれ強く引っ張られる。

「っいってぇ!!」

「やめろ!触るな!」

引き摺り上げられそうになる俺を今度はシュラが抱き締めて胸の中に引き戻された。

「ぅうっ…」
「…すまない、痛かったか…」

正直、柱にぶつけたところがめっちゃ痛い。あまり動かさないでほしい…

ジワっと涙が浮かんだ俺の顔を見て、シュラが唇を噛んだ。
黄金聖闘士のくせに、こんな程度で涙が出るとか自分が嫌になる。それが今、シュラの負担になっている事も。
俺は素早いわけじゃない。12宮でなければテレポートでいくらでも避けられる。
12宮でなければ…


「アイオロスが死んだ所は見ていない、しかしそれだけの血を噴いていれば時間の問題ではないか」


突然響き渡る声、サガの問いに答えたのはシュラではなかった。

「お前も、無事だったんだな…」
俺は独り言のように呟いて、自然と口元が緩んだ。

「アフロディーテ…」

「ほう、アフロディーテよ、死を見ていないとはどういう事だ?」
「アテナ共々、崖下へと転落していった、生きている可能性は低いと思う」

「思う、か。」

「念のため今雑兵を向かわせている、時間はかかるだろう」

「シュラはちゃんと仕事をしている。…あなたがデスマスクを傷付けなければ、望み通り今からでも向かわせる事ができただろうに…」

「…俺を?」

「元々教皇…サガは君をアイオロス討伐に向かわせたかったんだ。君にアイオロスを殺させて、巨蟹宮に縛り付けるために」
「……」

「いなかったけどね。黄泉比良坂だろうとは思ったけど、誰も呼びに行ける者なんていないし」

「…俺の代わりに、お前が…?」
「……」

シュラは唇を噛んだままだった。
シュラがアイオロスを慕っていた事は聖域中の誰もが知っている。弟のアイオリアと親しかった事も。
だから、何でタイプの違う俺なんかを気にかけるようになったのかよくわからなかったし。

「アイオロスが…アテナを連れ去った事は事実だった…」
「…そっか…」

確かに、そこは事実だ。そこに至る経緯がどうであれ。

「"シオン様"の勅命ならば、やるしかないもんな…」

「……ごめんな、俺が肝心な時にいなくて……」

とんだ自惚れかもしれなが、でも俺がいたら、アイオロスを追う前に教皇の異変に気付けたかもしれない。
気付けば俺は自然にシュラを抱き返していた。

「お前を黄泉比良坂へ追いやったのは俺のせいだろ?だから、お前は悪くない…」

俺を抱くシュラの腕にも少し力がこもる。

「…ハァ、こんな時でも人前で何やってんだか、とんだ聖衣迷惑だな」

アフロディーテに言われても、シュラを突っぱねる気にはならなかった。
これが聖衣のせいで済むなら今はそれでいい。寧ろそれが好都合だ。

「それよりサガ…」

アフロディーテがサガに声をかけた瞬間、サガがドサっと倒れ込んだ。

「?」

見ると、先程まで黒かった頭頂部の毛が全て金髪に戻っている。

「……どういう、ことだ?」

アフロディーテがサガの元に寄ると、顔を上げたサガが涙を流して体を震わせ始めた。

「私は…ついに…何という事を!!」


「……は?」


ーーー

コスモはすっかりサガのものに戻っていた。
サガがひとしきり泣いて懺悔を繰り返した後、二重人格だという事情を聞いた。
色々ありすぎて埒があかない。
一先ずサガの事はアフロディーテに任せて、俺は蟹座の聖衣と共にシュラに連れられ磨羯宮に運ばれた。

血を洗い流すために浴室へ連れ込まれたが、体は痛いし疲れ切っていて何も抵抗する気が起きない。
シュラも何も変な事はしない、って言ったし。聖衣も脱ぐし。
目を閉じて身を任せて綺麗にしてもらった。

新しい服を着せられて運ばれたのは寝室のベッドの上だった。

「…俺の宮じゃねぇの」
「いや…少しでも早く痛みを鎮めてやった方がいいかと…」
「…あぁ…」

シュラの手が患部にそっと触れる。じんわりとコスモが流れ込んできた。

「…始めておいて何だが、俺はコスモでの治癒は苦手なんだ」
「……て事は?」

「……時間がかかる……」
「……」

「でも、アフロディーテには…任せたくなかった…」
「…好きにすれば」

今までドロドロしてるのは俺の方だけって思ってたけど、シュラも俺に独占欲孕んでいるんじゃないか?と思うのは自然な事だよな?
これでも聖衣の影響を受けているだけなのか?

「…ハァ、何かとんでもない事になっちまったな…」
「…起きてしまった事は悔いても仕方ない…」
「前向きなんだ」
「なるべく…聖域は今まで通り動かさないと」
「サガがどうにかするだろ、お前が考える必要無ぇよ」

「…シオン様を失った」
「……そうだな」

「…デス」

「…デ、デスゥ?俺のこと?」
「デス、俺はシオン様の代わりにはなれないが、それでもできる限りお前を支えていくから」
「お前の迷惑にならないように努める、だから、黄泉比良坂にばかり行くのはもう控えてくれないか…」

「んー……」

「この世界のどこにもお前がいないというのは、不安が大きい…」

「目の届く範囲にいろってこと?」
「……上手く言えないが……」

まぁ、こいつも縋るものを失って不安なんだろう…
俺よりもたくさんの知り合いや仲間がいるはずなのに、俺を頼るってところが優越感あって気分がいい。
こいつにとって、同じ年っていうのはそんなに大きな存在なのだろうか。

「お前のソレってさ聖衣の影響受けてたりしねぇよな?」
「……正直、わからない。最初こそ聖衣が勝手に、と思ってはいたが」

「元々、聖衣の影響無しでお前と関係築いて行きたいと思っていたし…ただ…」
「ただ?」

「……お前といると、自分の嫉妬深さが嫌になる……」
「どういうこと?」

「…俺のものじゃないと、嫌だ…」
「……」

「いや、お前がこういうのを嫌っているのは知っている!だから、時々他の者に対してキツい事を言ってしまうかもしれないが…」

「ハハハッ!正直だな!」
「……」

「お前、だだ漏れだよ、アフロに対してとか酷ぇもん」
「…それは、自覚している」

「先代の山羊座と蟹座ってどんな関係だったんだろうな、お互いこんなドロドロした気持ち抱えてたんかな」
「さぁ…」

「責任取れるなら、俺を縛ってもいいけど」

「は?」

「俺もお前が聖域中の他の奴らと親しくしてんの、ムカついてたんだよ」
「……」

「お前って俺の事好きなんじゃねぇの?って」

「俺だけ構ってりゃいいじゃん。他の奴に愛想振り撒かなくても、俺がいればいいじゃん」

「俺だけを見てよ、シュラ様、って」

「引く?」

「……おあいこだ」
「だよな〜」

ーーー

シュラのコスモによって痛みが治まり、巨蟹宮へ戻る事にした。

「あー色々あったけど何かちょっとスッキリしたわ」
「完治はしていないが、痛みは大丈夫か?」
「大丈夫だよ、マジで数時間かかるとは思わなかったけど」
「かえって疲れさせてしまったか」
「いいよ、お前の方が疲れただろ?俺の宮まで付いて来なくていいのに」
「聖衣があるし、言っただろ?お前と一緒にいたいんだ」

「じゃあ今日は巨蟹宮で寝ていくか?」
「……」

「別に何もしねぇよ、一緒にお菓子食べたりするだけだって!」
「あぁ…」

「…なぁ、もしかしてお前って結構スケベなの?」
「そんなわけでは!」

「俺こう見えてもエロいこと詳しくないんだよ、アイオロスとかから聞いてねぇの?」
「特にこれと言って…体の成長についてくらいしか…」
「何だそれ?気になるじゃん、教えてよ」
「……」

ーーー

翌日、アイオロスとアテナの遺体は見つからなかったと報告が入った。
数日間、雑兵たちが辺りを探し回り血痕を辿ってもみたが解決には至らなかった。

アフロディーテ、シュラ、俺の3人で話し合いを繰り返して、俺たちはサガを隠し通すことに決めた。
シュラは相変わらず聖域の者たちと親しくしているが、監視も含めているという点で変わり、また以前よりも少し距離を取るようになった。

俺たちは聖衣を着る機会が増え、やはり自然とお互い引き寄せられてしまうようだ。
ただ、周囲には「もう諦めがついた」と報告して、人前でキスをしてしまう事があっても喧嘩をおっ始める事はなく、ため息一つで済ませるようになった。周りも「またか」と思う程度だ。

俺たちがもう聖衣を脱いでもキスが交わせる関係になっているとは誰も知らず。

ーーー

「なぁシュラ〜俺ついにきちゃったかも」
「何がだ?」

「せいつう」
「……」

「これからどうしたらいいか教えてよ、先輩」
「……」

多分、このままいけば体の関係まで持ってしまうのは時間の問題だ。
聖衣が繋いだ関係なのか、聖衣に繋がされた関係なのか、悩んでいたあの頃は何だったのだろう、そんなことはもうどうでもいいくらい俺たちは我慢する事なく、崩壊が進む聖域の裏で欲望を曝け出して付き合っている。

ーおわりー

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