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そこはかとなく

そこはかとない記録
2022
07,12
蟹誕漫画は3頁目の下書きまで終了〜(゚∀゚)b
休憩多めののんびり気味で進めてます。

さて、結局昨日の話を続けてみました。結を考えていないのでダラダラです。
あとやっぱ会話がわかりにくいかも。そしてどこまで続くのか…。

ーーー

ある日、久しぶりにシュラと遭遇したが、幸い向こうは聖衣を着ていなかった。
お互いチラ見して、どこかホッとしてそのまますれ違おうとしたら。

「……おい」
「……なんだよ」

「お前、手を離せ」
「っ!なんっ…で!!」

俺は引き留めるようにシュラの腕を掴んでいた。

「何でこうなるんだ?!お前聖衣着て無ぇのに…!」
「わざとやってるのか?」
「違う!俺の意思じゃない!」
「ハァ…離してくれ、できないなら聖衣を脱げ」

「ぅぐぐぐ!」

溜め息混じりにそう言われて何かいつも以上にムカついた。

「クソったれぇ!!!」

気合いで聖衣を吹き飛ばして、それだけでは足りないから握っていたヘッドパーツを地面に叩き付ける。

「聖衣に当たっても仕方ないだろ」
「じゃあどうすりゃいいんだよ!いちいちムカつくんだよ!お前がぁ!!」

「俺はな、お前に極力会わねぇように普段わざわざ黄泉比良坂で過ごしてんだよ!」
「どんな場所か知らねぇだろ?!寒いのか暑いのかわかんねぇし、いるだけでコスモ吸い取られていくし!」
「もう嫌だ!蟹座辞めて俺は死ぬ!」

自分でも何を言っているのかよくわからなかったが、そう叫びながら教皇宮に向かって走った。

ーーー

教皇宮へ入るなり「蟹座辞めて死にたいです」と言い放った俺を、シオン様は上手いことなだめて私室に通された。

「相手が聖衣を着ていなくても惹き合うようになった…か」
「もう死にたいです」
「まぁまぁ…早まるな…」

「実はな、お前たちは2人とも前山羊座と蟹座にそっくりなんだ」
「はぁ?」
「生まれ変わりかと思った、本当にエルシドとマニゴルドに似ている」
「……絶対に死にたいです」
「待て待て」
「だって、それって聖衣が勘違いし始めてるって事じゃねぇの」
「……まぁ、そうかもな」
「本当に死にたいです」
「そう言うな…」

「俺、蟹座辞めて死ぬから次は前蟹座に似てない奴を選んでください」
「そうは言っても選ぶのはわしではないからな」

「とりあえず、しばらく2人は聖衣を着なくてもいいようにする」
「できるんですか」
「まぁ、そういう仕事を他の者に回すしかないが…その間に対策を考えるから早まるのはやめなさい」
「……」
「念のため聖衣を教皇宮で預かろう、持って来なさい」

そう言われて、アイツの前で脱ぎ捨てたままだった事を思い出した。

ーーー

聖衣を拾いに行くため教皇宮を出ようとしたら、下からあいつが登ってきて思わず後退りしてしまった。

「お前、大事なものを散らかしたまま行くな」

そう言って目の前まで来たシュラはドスン!と蟹座聖衣を地に置いた。

「…拾ってくれたのか…」

それにパンドラボックスは巨蟹宮に置いてあったはずだ。
わざわざ取りに行って回収してくれたのか…
ちょっと意外に思ったが、普段顔を合わせれば喧嘩ばかりであまりこいつの事を知らなかった。

「まぁ…ちょうど良かった、コレもう教皇に預けるんだ」
「は?…本当に蟹座を辞めるのか?!」

「辞めたいけどまだダメだってよ、それに聖衣を預けるのはお前もだ」
「当分、聖衣着なくて良くなったからな、もう俺に関わることも無いぞ」

「……そうか」
「俺はコレ預けてくるから、お前も早く取りに行って預けてくれ」

そう言って俺は教皇宮に戻り、念のため聖衣を持ったシュラとすれ違わないように裏道から巨蟹宮へ戻った。

これで当分あいつに会う事も無ければ、もし会ったとしても何も無いだろう。
何より黄泉比良坂で時間を潰さなくてもいい。
そう思えば、ついさっきまで死にたくて仕方なかったのは何だったのかというくらい気が軽くなって、いつも少しずつ食べていた好きなお菓子を取り出して大人食いしてしまった。

翌日、清々しい気分で目覚め部屋にいると、教皇からのお呼び出しがかかる。
スイスイ滑るように12宮を駆け上がり扉を開ければ、教皇とシュラがいた。

ーーー

「……すみません、今、なんと?」

教皇の言葉は聞こえていたが、つい聞き返してしまった。
そんな内容だったのだ。

「シュラとデスマスク2人に行ってほしい仕事がある」

「泊まりがけで?」
「泊まりがけだ」

「……宿代勿体ないでしょうから、テレポートで俺だけ帰ってきてもいいんですが」
「宿代は向こう持ちだ」

「当然1人部屋ですよね?俺、プライベートな時間を誰かと一緒になんて過ごせません」
「それはわからん」

「…やっぱ俺だけテレポートで帰りたい」
「まぁそこは任せるが、お前たち今まで聖衣のせいで喧嘩ばかりだっただろう?聖衣の影響を受けずにお互いの事を知る機会が必要だと思うてな」
「すごく余計なお世話ですね」

俺と教皇で会話が進んでいく中、シュラは黙ったまま突っ立っている。

「なぁ、お前も何か言って拒否しろよ!」
「仕事は仕事だ、俺は別に文句など無い」

「一緒に泊まらなきゃいけないかもしれないんだぞ!」
「だから何だ、風呂に入って寝るだけだろ」

「飯だって食わないと…!」
「…食べるだけだろう?嫌なら別々で構わない」

「……」

「お前、聖衣の事があったからって俺を意識し過ぎなんじゃないのか?」

言葉に詰まって黙った瞬間、向こうからとんでも無いことを言われた。

「は…はぁ?!」

「お前の事なんか1ミリも意識してねぇよ!!」

結局、聖衣が無くても喧嘩しかしなかった。
いや、まぁ、確かに俺が一方的に熱くなっていただけだ。

俺は元々人付き合いが好きじゃない、1人が好きなんだ。
あいつだから一緒にいるのか嫌だとかそういうわけじゃなくて、誰でも嫌なんだ。

それに聖衣の件があったから意識するって、そりゃ当然だろ!
意識してないとか言い返しちまったけど、身構えて当然だろ!

あー嫌だ…何で勢いで「ただの仕事だし受けてやるよ!」とか言って全部OKしちまったんだ…
俺はまた死にたい気持ちに苛まれながら、渋々荷造りを進めた。
ーつづくー?

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