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そこはかとなく

そこはかとない記録
2022
07,08
56頁到達!残り4頁!



そして何事も無ければ明日ボーナスタイムが取れる予定!
トーン貼れば終わりではなくて表紙作ったりがあるけど、早ければ明日の夜、遅くても日曜には完成できると思います(゚∀゚)b私の腰次第…

明日は原稿に専念したいので、多分ブログの更新は無いです。
七夕話もう少し続くけどお待ちくださいませ。本題的には今日のでほとんど終わってはいるのだけど。では昨日の続き。↓

ーーー

何も考えず、ただカチカチと星を重ね続けていたある日、目の前に突然光が現れた。
ふわふわと浮いていて何もしてこないので、無視して手を動かしていたら頭の中に声が響いてきた。

『この前、星の綱を引いていたのは君か?』
「……そうだが」
『また作っているのか』
「あぁ」
『会いたい者がいるから?』
「……そうだ」

『……この前、星が突然砕けてしまっただろう?』
「……あぁ」
『あれは7月7日が終わったからだ』
「はぁ?」
『なぜそうなるのかは私も知らないが、会いたい者がいるならば少しでも早く完成させるんだ』

『それもまた、次の7月7日が終わると砕けてしまうだろう』
『そうなる前に完成させて、大切な人を引き揚げるんだ』

……そう言われても、7月7日がいつなのかわからない。
地球が何回回ったか数えなくてはいけないのか……。
あの時から既に何日経ったかもわからないのに。

『この前の7月7日から1ヶ月が経っている』
「……はぁ」
『残り10ヶ月ちょっとで完成させなさい、君をまた見かけたら教えてあげるから』
「……はぁ、ありがとうございます」

そうして光はどこかへ流れていった。
よくわからないが、とにかく前回より早く完成させてデスマスクを引き揚げれば可能性があるらしいってことだ。
信じる信じないは俺次第だが、どうせやる事には変わりない。
俺は黙々と星を繋ぎ続けた。

ーーー

もう、作ってくれねぇのかな…

……

会いたい……

やっぱり、会いたい……

地獄の底でゴロゴロしながら、俺は毎日シュラに会いたいと思っていた。
あんな出来事があるまでは諦めがついていたはずなのに。
また会えるかもしれないと思うと、会いたくて仕方がなくなってしまう。

……俺ってやっぱ弱いのか……

女々し過ぎる自分が嫌になる。
会うために俺が何か出来る事はないか考えてみたが、何も思い付かなかった。
転がっている石を積み上げても亡者が登って崩すだけだし。

ゴロゴロしている俺を亡者は面白半分、恨み半分で足蹴りしたりしてくるが怒り返す気も起きない。

やっぱ俺、悪いこといっぱいしたもんな

ガンガンとあまりに蹴られ続けてさすがに顔を起こした時、それが視界のど真ん中に入った。

「……きた……」

漆黒の穴から再び星の縄が垂れ下がってきたのだ。

「……ぅ……」

嬉しい……
シュラは諦めていなかった。

まだずっと高い所にあるが、それを確認しようと立ち上がったら周りにいた亡者たちが道を開けた。

「……お前ら、教えてくれたのか」

そりゃあ、地獄から抜け出せるのなら協力するって考えもあるわな
多分、アレに触れるのは俺だけみたいだし

縄の下まで駆け寄って、それから手が届くまでずっとそこで待ち続けた。

ーーー

デスマスクのコスモを感じて俺は再び星の紐を引き揚げ始めた。
度々やってきては日付けを教えてくれるありがたい誰かによれば、まだ7月7日までは余裕がある。
引き揚げ続けて何日経っただろうか、再びあのありがたい誰かが俺の元にやってきた。

『もうすぐ7月6日になる、頑張ってくれ』
「言われなくてもやっている!」

6日になると言われてから随分と時が経った。
もう7日になってしまっただろうか?そう焦り始めた頃、やっとデスマスクの姿が確認できた。

「デスマスク!!」

相変わらず亡者もくっ付いていて重い。
でも紐が切れるのは亡者のせいではない。

「シュラ…!」

黙々と引き揚げ続けて…

遂に俺は、デスマスクを抱き締めることができた

「デス、デスマスク!」
「……ぅっ、シュラァ、お前、頑張ったなぁ…!」

抱き締めて、キスをして、あぁ、久しぶりのデスマスク…!

愛おしすぎて言葉が出なかった。


「…なぁ、シュラ、重くないか…」
少し落ち着いた頃、デスマスクが言った。

「重いは重いが…どうにもできないのだろう…」

デスマスクのふくらはぎ辺りにしがみ付いている者を筆頭に、先が見えない程の亡者はぶら下がったままだ。

「どうするかはまた考えよう、今は抱ける事が嬉しい」

「シュラ、もうずっと一緒にいれるのか?」
「……いれたらいいな、だからちゃんと俺に掴まっていろ」

不安が無かったわけじゃない、7月7日が終わる時、星の紐が砕け散る意味が何か、俺なりに考えもした。

「離さないから、お前もちゃんと掴んでいてくれ…」

少し、声が震えてしまったかもしれない。
デスマスクは黙って俺に抱き締められていた。

「デス、地球ってほんと海ばっかりだよな」
「あぁ、地球が青いって本当だったんだな」
「もっと海に連れて行ってやりたかった…」
「んな事考えてたのか?…いいよ、宇宙に連れて来てくれたじゃんか」

「スペシャルな海も見えるし」
「…ありがとうな」

そう告げてデスマスクが俺に触れるだけのキスをした瞬間

するっとコスモの温もりが滑り落ちていった。

ーーー

俺はまた黙々と星を繋いでいた。

「1年に1度しか会えないというアジアの伝承と同じか」
『そうかもしれませんね』
『また作るのですね』
「……俺は諦めない、どうせやる事も無いし」

「今まではずっと会えなかったんだ、1年に1回会えるだけでも贅沢だろ」
定期的に俺を訪ねてくれるありがたい誰かは、姿は見えないが俺の言葉に微笑んでくれた気がした。

それから毎年1年に1回、俺はデスマスクに会うことができるようになった。

デスマスクにもこの事情を説明すれば、残念そうな顔をしたが
「寧ろお前を待つ楽しみができたくらいだな」
と笑ってくれた。

ーーー

もう何年、それを繰り返したのだろうか。
地球のあの場所に光が当たり始めると7日が終わる、それも把握して俺は今年もまたデスマスクに別れのキスをした。

その時

「ぅわっ!!」

とても大きな星が流れてくる!と思ったら俺たちの目の前で止まった。
大きな光の中から男女の姿が見えてくる。
異国の、アジア辺りで見かける服を着ていた。

『シュラ、デスマスク、もう別れる心配はありません』

『デスマスクさん、あなたを地獄から解放いたします』

「はぁ?」
突然の事に間抜けな声が出てしまった

『我々は神に仕える者』
『あなた方がかつてそうであったかのように』
『しかし我々は争いはしない』
『私たちは愛を結ぶ者』
『我が主はお二人の愛を認められました』
『そしてあなた方がかつて仕えられた神と地獄の神と掛け合いました』
『誠に勝手ながら、お二人を結び付けたいと思います』

息を継ぐ暇もなく交互に語りかけられて頭が追い付かない。
ぽかんとしていると男女の後ろで輝いていた大きな光が強く輝いて俺たちを包み込んだ。

光の中なのか、真っ白な空間

デスマスクにしがみ付いていた亡者たちが散り散りになって浮いている。

『よく、我慢して彼らをここまで導きましたね』
『あなたは立派な蟹座の聖闘士ですよ…』

そう声が響いた瞬間、亡者たちは眩い光に包まれて消えていった。

気付けば辺りは再び宇宙だった。

「あ、あいつらは…」
『みな、輝いていますよ』

そう告げられ指を指された先、太陽の光を受け眩く輝く星の海。

『ここから、大切な人を見守り続ける事ができます』
『あなた方は?お互い意外に、地上に大切な人はいますか?』

「……地上に……っても全員死んじまったよな」
「でも、死んだ場所にいるというのなら皆あそこにいるんじゃないか?」

聖域に…

ーつづくー
次で終われると思います。

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