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そこはかとなく

そこはかとない記録
2024
06,06
地区の会報的な資料作成も終了!蟹誕作業に入ります(∩゚∀゚)
オメガバ文の続きは蟹誕モノが仕上がってから再開します。
10万字以上の前フリの割にシュラのα化がアッサリし過ぎている感が拭えないので最終的に補強するか考え中…。やっぱシュラとサガが対峙する所から話があった方が良いかな…。
とりあえず残りは、十二宮戦までのラブラブ→十二宮戦・死別→冥界編の再会ちょろっと→エンディング。
本にする時はα巻とΩ巻の2冊組みになる可能性も出てきました。1冊に収めれたらそうしたいけど、どうなるか微妙なところ。A5で厚すぎると読み難いと思うので。

息抜き落書き。
深淵とは別のオメガバ小ネタ。最初からシュラα、デスΩ。





レディースコミックから少女漫画に変わるの巻。

ずっとシュラに自分を襲わせたいと思っていて、あらゆる手段を講じていたデスマスク。シュラは自分の事なんか何とも思っていないと考えていたからこそ落としてやりたかった。
いたずら気分でやっていた事でシュラも靡くことなんて無かったが、ある日シュラが自分以外のΩと会話しているところを見た瞬間、ものすごく嫌な気分になる。そのΩと別れるまで張り込んでたデスマスクはシュラが1人になった途端いつものように誘惑してやろうと近付いた。なのに今日はシュラが引き寄せられるように近付いてくる。意外だ、今日こそいけるかも…
嫉妬心から強いフェロモンを発していたことを知らないデスマスクはシュラに襲われ番にさせられてしまう。
そんなつもりじゃない、そんなつもりは無かった。
取り返しのつかない事をされて、でも加害者は自分なので文句を叫んでも虚しいばかり。
なぜ自分はシュラに襲われたかったのか?
いけ好かないから、だけだったのか?
番にされてからデスマスクの発情期が来ると、シュラはちゃんとデスマスクの相手をするために巨蟹宮を訪ねた。嫌がる素振りを見せても「番だから」とデスマスクを抱いて癒した。
でもデスマスクの相手をしに来るのは発情期の時だけ。
それを寂しく感じた時、デスマスクはシュラに対する恋心に気付いたが、その気持ちに蓋をしたくなった。シュラは被害者で、仕方なく番になった自分の相手をしに来るだけなんだ。それ以上求めるのは迷惑というものだ。
昔の自分であればシュラに迷惑をかける方が楽しいくらいだったが、好きになってしまうととてもそう思えない。かつての自分が死んでしまったようにシュラの気持ち優先になってしまう。
もうシュラのことは誘惑しない。発情期でどうしようもない時以外、絶対にしない。絶対にしないぞ、絶対に、しないんだからな…
そう言い聞かせても、シュラにアピールし始めてしまうデスマスク。
ずっと知らないフリを続けて、でもたまに「番だから」と誘惑に乗って甘やかすシュラ。
「ごめん」が聞きたいのではない。
デスマスクがシュラに「好き」って告白するまでが、シュラの本当の仕置きである。

✌︎(・ゝ・)✌︎クク…

どうでもいい話ですが前回、猛烈な勢いで漫画を描いた影響により中指を痛めたらしく(中指第一関節にペンが当たる)、運転中ウィンカー出す度にじわじわダメージくらってました(゚∀゚`)
ウィンカーって人によっては中指じゃないのかな?自分は中指でガッとやるので、その度にグエっ(゚Д゚)と。ペンの握りが強いんですよね、多分。

星祭り10の申し込みも始まりました(゚∀゚)
新作無くとも参加予定なので、適当なタイミングで申し込みます!
今回10回目記念アンソロ(DLとかネップリかな?)もあるようで、描けそうならチマ4コマ2本で参加しようかなと(・ゝ・)φ
さてまずは蟹誕じゃい!

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2024
06,04
pictBLandに会員登録無しで見れるページを一時的に作りました。
パスワード制になりますので閲覧を希望される18歳以上の方は↓リンクから飛んでパスワードを入力しお楽しみください。

pictBLand深淵27へ

パスワード:12824

パスワード入力後、R18ですが閲覧されますか?と確認が表示されるので「閲覧」でどうぞ(・ゝ・)
そんなにカット部分は長くもないのですが、やっぱ削ってあると意味不明だと思うので…
pixivに投稿するまで残しておきます(゚∀゚)ノ

因みに他のピクブラ頁はログインしないと見れないです(今ここにしかないものは無し!)
あと、自分はブロッカー入ってるのでよくわかりませんが謎の空白が多いので、結構ピクブラに広告が挿入されてるような気がします(゚∀゚`)

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2024
06,04
※今回いわゆる「本番」シーンがありますが全年齢ブログのためカットしています。ゆえに番になる瞬間の描写がありません。完結後pixivへ投稿する際に追加します。
ーーーーーーーーーー

「クク、おまえカシコイなぁ!この部屋なんでも揃ってるぜ」
 蕩けた顔のデスマスクは腕を伸ばしてシュラの頭を抱き、グッと首元へ引き寄せた。その行動はαにフェロモンを嗅がせ理性を破壊しようとするΩの本能なのか。強く感じる爽やかな甘い香りにシュラは堪らず首筋を何度も舐めた。それだけでデスマスクは喘ぎ、身を捩り、シュラの頭を撫でてもっと、もっととせがむ。
「ハァ…きもちい、くび、舐めて…。すげぇ、もぅ…んんっ…!」
 匂いも、声も、動きも全てがシュラを操ってくるようで、とにかくこの愛おしいΩを悦ばせたいと求められるまま舐めた。こんなの止められるはずがない。これがΩの恐ろしさなのか?デスマスクへの愛なのか?わからない。初めて味わうαの愛の衝動。ただ間違いなく今デスマスクは自分の腕の中に在り、奪おうとする敵もおらず、あぁ思う存分に愛してやれる!これはオレのもの!そう、もう何の迷いもいらない。オレのものにできる。愛して、愛して、オレをこの体に覚えさせて噛んでしまえばいい!できる、それが、遂に、今なら!
 首筋から顎を、耳を、頬を舐めながらデスマスクの服を探った。かぶりのシャツはいちいち脱がせるのが煩わしい。早くこの体も気持ちよくさせてやりたいとシュラは軽く空気を斬った。切り裂かれたデスマスクのシャツは手で払うだけでスルスルと落ちていく。触れたことのある肌はこんなにも触り心地が良かっただろうか?温かくて、張りがあって、その気持ち良さに撫でさする手は止まらず下へと伸びていく。もっと柔らかく気持ちの良い場所があることを知っている。下着の中へ手を差し込み、触れた肌の柔らかさに震え、筋をなぞりながら中指を谷の中へと埋めていく。挟まれた指が温かくて気持ちいい。指を少し前後に動かすとデスマスクから戸惑うような喘ぎが漏れ、頭を抱く腕に力がこもった。
 愛おしい、可愛い、オレの恋人…
 シュラの舌はデスマスクの唇をなぞり、重ね合わせ、デスマスクはすぐに受け入れた。恥じらいなくお互い何度も舌先を触れ合わせ、滑る感触に気持ちが高まっていく。気持ちいい。どれだけ重ね合わせても絡ませても足りない。ここだけじゃ足りない!
「シュラァッ、ぬぎたい…下も斬っていいから、早く裸にしてくれよぉ!」
 甘えた声が言い終わる前にデスマスクの服は全て切り裂かれた。すぐ脚がシュラの腰に絡み付き、布切れがすり落ちていく。
「きもちいぃが、もぉツラい…薬飲んでねぇんだよ。早く挿れてくれ、一度楽になりたいっ、挿れて、ぐちゃぐちゃになりたいっ!」
「…ぐちゃぐちゃ…?」
 その言葉にシュラは動きを止めた。ぐちゃぐちゃにしてやりたい疼きも衝動もあるのに、急に心臓を強く掴まれるような苦しさに襲われた。
「オレ黄金だし、壊れねぇって。だいじょうぶだって。はやく訳わかんねぇくらい気持ちよくしてくれよぉ」
 シュラを抱き締めて、今度はデスマスクがαの匂いを嗅ぎながら首筋を猫のように小さく何度も舐めてくる。
「いや、ちょっと、待て…」
「なに…まだそんなコト言えんの…?足りないのか?おまえ…気持ち良くない?」
 突然、理性を取り戻したシュラの姿に眉を寄せ、困り顔で見上げてくる。その表情とは裏腹に、残された理性を叩き壊してやろうとフェロモンが濃くなった。なぜ足りないんだと訴えかけてくる様は、シュラがβだった頃に見せてきた姿と同じで。
「すまん、ちょっと、待ってくれ…」
 デスマスクは誰にも渡さない、オレのものだ。番にしてオレだけのものにするんだ…。
 ――そうしたい、そうするつもりであるのに胸が苦しい。何だこれは、誰がオレを止める?βか?βだった、オレの心か…?
「しゅらっ、なぁ、おまえもう我慢しなくていいんだよぉ!こんな時に迷うなよぉ!」
 デスマスクの舌がシュラの口元を舐め、ちゅっちゅとキスを繰り返す。開けろ、キスを返してくれ、と必死にシュラを誘う。
「…ん…デス…」
 キスを返してなだめるが、水を差すように頭の片隅で警鐘が響く。このまま奪ってしまうのは嫌っていたαの本性と何も変わらないぞと、深淵に呑み込まれ死んだβが恨めしそうに叫ぶ。デスマスクを大切にするとはどういう事か、番になるとはどういう事か忘れてしまったのかと。そんなこともうどうだって良いと思うのに、αになり切れていないシュラは自分の衝動とは裏腹に喉が震え、声をこぼした。
「…すまん、やはり今、番になるのはやめた方がよくないか…」
「はぁ?!ここまできてなに言ってんだよ!いやだ、早くおまえと番になりたい、がまんできねぇ!」
「…俺たちは聖闘士だ。番になって、もし俺が先に死ぬような事があれば…」
 番を失ったお前はどうなってしまう?直ぐに後を追うとしても失った事実、耐え難い悲しみをお前に与えてしまうのか。
「死ぬかよ!おまえ死なねぇだろ!そんな弱くねぇだろうが!」
「でもわからないだろ?!神をも相手にするんだぞ!」
「だったら余計にオレを番にしろ!絶対に死ねなくなるだろうが!オレを残して、おまえだけなんてっ!」
 デスマスクの右手がシュラの腹部に伸び、誤魔化せない熱に触れた。
「正直、もう死ぬとか死なないとか関係無ぇんだよ…番にしてくれ、おまえがαであるなら早くオレを縛ってくれ…。辛いんだ、発情期とかαに惑わされるとか…全部おまえだけで満たされるようにオレの体を作り変えてくれよ…それはもうおまえにしかできねぇんだよ…!なぁ、本当におまえが先に死にやがってオレが一人残る事になってもよ、おまえの事ばかり考え続けて狂って死ぬならそれで良いって思えるんだよ!どれだけ寂しくて飢えてもおまえの事で頭がいっぱいになれるならそれでいいんだ、だから早く!オレを助けろって言ってんだ!」
 涙ながらにシュラの服を脱がそうと、両手を伸ばしてズリ下げていく。上手くできなくて苛立ち、唇を噛んでシュラの腰を叩いた。
「オレはずっと、おまえはαだと思っていた。初めてバース判定した時からそう信じていた。全然αに変異しなくて本当にβなのかって思った時、悔しくて悲しかったんだ。それってもうその頃からおまえの事好きだったって事だろ?何故かなんてわかんねぇよ!おまえに惹かれる要素なんて無かったし。でも好きなんだ!他の奴らじゃ嫌なんだ、おまえがいい。ずっとおまえといたい。おまえがαになったのならなおさら、他の知らねぇΩに取られたくねぇよ!だからオレしか知らないうちにさっさと番にしろ!こんなに好きだからいいだろ!つらいんだ、はやくしろばかやろう!」
「っ…?!ぐ…デス…っ」
 限界を超えたデスマスクは息を荒くして下げた服の隙間からシュラの熱を引き出し、手の中で自身のものと擦り合わせ始めた。体格に似合わず幼いデスマスクの熱は既に弾けていて、甘く香る粘液が二人の芯を包み込むと僅かに残された理性はどろどろに溶かされていく。
――おまえがオレを愛しているのはちゃんと知ってるから、それでいいんだよ。悲劇なんて何度も超えてきた。どうせまた突き落とされるのなら、今我慢する方がもったいねぇだろ――
「しゅらぁ…オレをつがいに、できるよな?」
 歪ませた口元は悪童のようなのに、ふにゃんと笑う目元は潤んで艶やかで。シュラの下で大きく体を開き、硬くなった熱を入り口まで導いていく。βの愛は忘れねぇよと愛し続けたシュラに別れを告げ、ずっと求めていたαのシュラを誘う。オレのからだ、準備いらねぇから…と囁く言葉が、部屋に満ちる爽やかな甘い香りが、麻薬のように効いて…いつの間にか胸の苦しさも危機感も消えていた。デスマスクの覚悟は聞いた、それで十分だろ?βよ…。
――こんなにもオレを求めるこいつを、早く愛してやらないと。これ以上我慢させたくない。何でもしてやりたい――
「優しくできなくても、許せよ…」
「ククッ…うれしすぎるぜ…」
窓の外、燃えるように赤い夕焼けがカーテンの隙間から溢れていた。
太陽が、落ちていく。

ーーー

*****

ーーー

 手で強く顎を抑えられ、首筋が突っ張る。そこに強い視線を感じる。シュラのフェロモンが増して麻酔のように染み込んだ。――もう、逃げられない。
「…永遠に、愛すると誓おう…」
 低く響いた声すら肌を舐めるようで気持ちいい。溢れる涙に視界がぼやける。揺れ続ける腰は快感を止めることなく、シュラの髪がファサッと頬に触れたと同時に鋭い痛みが体を貫いた。

――暗い。真っ暗で、茂る木々の葉が空を覆って星も見えない。痛い、首が痛くて動かせない。誰かが必死で舐めているけど、あぁ…止まらないんだ…おれの血が…。だって、おれ、Ωじゃねぇもんな。αだもんな。薬飲んで、誤魔化しても、Ωにはなれない。Ωになりたいわけではなかった。ただ、お前がαだったから…。αはΩとしか結ばれないって言うから。周りが、世界が、神がそう言うから。そんなの、気持ちの問題だなんて思ってもフェロモンが、遺伝子が否定してくるから。だからもうこうするしか無かったんだよ…。どうせ死ぬのなら、結ばれて死にたい。このαが愛した男はΩではなくおれであったのだと。こいつにも、おれの体にも、周りにも世界にも神にも!…わからせて、やりたかった…。あぁ…お前はそんな顔しなくていいんだよ、おれ嫌じゃねぇよ、おれがお前に頼んだんだから。もう舐めなくてもいいって。口元の血ぃ拭えよ。おれのカッコイイ顔もっと見ててくれよ。嬉しいぜ、お前がシてくれて。願いを叶えてくれて。わかるか?おれ笑えてる?口ももう上手く動かせねぇんだ。…あぁ、勝ちたい…いつか神をも超えてみせたい。全てを見返す力が欲しい。おれと、お前を守るだけの…。お前を手に入れるだけの…。力を…手に入れて…共に、また…――

「…デス…ちゅ、デス…かわいい、ちゅ…」
 優しく名前を呼ばれながら首筋を何度も舐められるのが心地良くて、うっすら瞼を持ち上げては閉じるをしばらく繰り返していた。
――生きてる、な…――
 首に痛みは感じるものの絶え間なくケアされて苦痛ではない。下腹部の中にはまだシュラを感じる。結ばれたままだ。抱き締め続けるシュラの肌は温かく、いい匂い。時折胸先にも軽く触れられて、とにかく全身気持ち良くてなんで溶けてしまわないのだろうとぼんやり思う。
「…あ、オレのケツ…壊れてねぇ…?」
 シュラが噛む直前、自分の腰はもうどろどろに溶けていたように感じた。モゾっと動いて尻に触れてみるがちゃんと丸く残っているし、シュラと結ばれている部分もぐちゃぐちゃにはなっていない。しっかり締め付けている。
「…おい、目覚めた最初がケツの心配か」
 晴れて番となった第一声がロマンチックとは程遠い発言で、シュラはため息をついた。
「だってよ、めちゃわけわかんなくて凄かったんだぞ?お前だって俺の尻ぶち破ってないか心配にならなかったのか?」
「俺はもうαだからな、βのような気遣いはできないぞ」
「…いや、それでいいけどよぉ…」
 αになれ、オレは壊れないと豪語していた手前、勢いを無くしたデスマスクの首筋をシュラは軽く笑いながらそっと指で触れた。
「クク、とは言え俺もまだαになり切れていない部分はある。嫌ではなかったか?酷いことしていなかったか?」
「はぁ?大丈夫だよ、悦いコトしかしてくれてねぇよ」
 そう言って擦り寄るデスマスクに、そうか、と呟いてシュラはもう一度噛み跡を舐めた。
「首の痛みは?血は止まったようだ」
「ジンジンするが…言うほどではない。寧ろ嬉しくてジンジンするのかもしれん」
 デスマスクもそっと手で触れてみる。小さく皮膚が抉られた場所を探し当て、微笑みが溢れた。
――これが、Ωの体…――
「これで、俺のフェロモンはお前にしか届かない…」
「お前も俺のフェロモンしか感じ取れない」
 何度も噛み跡に触れながら呟かれた言葉にシュラが返した。
「ハハッ…手に入った…遂に、番になって…もう誰も俺らの邪魔はさせねぇ…!」
 笑いながら涙が溢れるデスマスクを抱き締めて、シュラもじんわりと目頭が熱くなった。

 遂に、報われた。途方もなく永い間引き離されていたように感じる。デスマスクとは出会って10数年、気持ちを交えたのはここ数年のことなのに、もっと昔から知っていたと思う。体を一つに結んでより強くそう感じた。失われていたものが取り戻された安心感。そして二度と手放したくないと感じる独占欲。自分からだけではなく、デスマスクからもそれは感じられる。自分たちは誰の邪魔も許さない、全てに於いて結ばれた存在に間違いない。神に引き裂かれ、打ち壊されようともこうして二人は必ずシュラとデスマスクに辿り着くのだ。これは神も予期していなかった強い運命なのかもしれない。ならば今度こそ、果たせるだろうか?デスマスクと笑い合って生涯を終えることが…。

「デス、発情期はまだ辛いか?」
「ん?…ヤりまくって噛んでもらったしな…薬飲んでねぇけど、落ち着いてるな…」
「何がしたい?何か食べるか?」
「えぇ?…なにってよぉ…お前、コレぶっ挿したままで何言ってんだよ…」
 そう言うとデスマスクは腰をシュラに押し付けるように揺らしてみせる。
「αサマならまだ余裕だろ?俺も落ち着いたし…今度はゆったり抱いてくんねぇ?」
 以前はシュラを誘おうと必死に色気を出しているようだったが、番となった余裕からかデスマスクに素の可愛さが戻ったように思えた。媚びるような声も軽くなって耳に馴染む。部屋に満ちるΩのフェロモンは想像していたような甘ったるいものではない。柑橘系の爽やかな甘い香りは体にスッと溶け込んで、いつまでも嗅いでいられる。海をバックに笑うイタリア男にピッタリだなと納得した。今までコレを自分だけが知らなかったというのはジリジリと妬けるが、これからこの香りは自分だけのもの…。
「そうだな、俺もやってみたいことが色々ある」
「へ?…お前ってさ、元々スケベだったのか?そんな急に変われるもんなのか?」
「さあ?まぁ知らないことが多いからな、こことかこことかどうなるか見てみたい。後ろからも試してみるか?」
 そう告げながら指先で肌を弾いていく。デスマスクはその感触にピクン、と身を縮ませてから力を抜いて、シュラの手に自身の手を重ねた。
「…ぜんぶ、いい…けどぉっ…。おれもやってみたいことあるから、調子ノリすぎんなよ?」
「クク、それができるだけの体力が残っていればな、な」
 シュラに押し倒されて、聖剣を放つ手が、指先が肌を優しく滑っていく。部屋で一人シュラを想わなくてもここにいる。もう「だめ」だなんて言われない。求めれば与えられる。辛い発情が薬も無く癒やされていく。願っていた全てが今、ここにある。
 デスマスクは喜んで何もかもをシュラに捧げ、満たされた幸福に溺れ続けた。

ーつづくー

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2024
05,28
漫画を描きたい!と思い1頁くらいなら…と始めましたが、当たり前のように収められるはずもなく4頁に(゚∀゚`)これでも無理矢理〆た。
猛烈な勢いで描いたのでthe顔漫画ですけど、このレベルなら1日4頁いけるんですね。聖衣とか適当でも下書きという誤魔化しが効く(笑)まぁ時間かかるのはペン入れとベタだなぁ。せっかくなので蟹誕用に描き直すかも。
集合時間でなく召集時間だな…(・ゝ・)φ訂正









この言葉、今使わずしていつ使う?
ラレーヌの名曲「フィアンサーユ」(婚約)言いたいだけに描いた漫画です。
ゆえにフランス語(笑)伊語でも西語でもない。仏!

復活後から年中が聖域を出るまでの話は昔(2012年頃)から考えてありまして、内容もあまり変わってないのですがなっかなか描く機会が無く…ソレを少し使ってみました。
元々考えてるのは蟹のパンドラボックスが開かないのではなく、聖衣を着けようとしてもポロポロ落ちてくるというパターン。どのみち赤目設定のデスマスクは復活後、二度と聖衣が着れないというもの。コスモは使えますが燃やす機会も無く、シュラから見るとどんどん弱々しくなっていくようで聖域から離したのは間違いだったのかと悩む事も。ただシュラがそう思うだけでデスマスク本人は何も気にしていない。この2人はくっ付いてもどちらかが悩み(思い込み)を抱えて…の繰り返しな気がする。凸凹で噛み合うんだけど、同じにはなれない。抱き合ってる時が一番噛み合って安心して落ち着ける仲かもね。歳を重ねても夜の営みは続いてそう。

(゚∀゚`)たつの?
(・ゝ・)σお前がオレをたたせるんだろ
(゚∀゚`)……
(゚∀゚`)頑張る…

そうら(・ゝ・)σ≡σ   ((´Д`; ))ピッ…ピィ…
煽りが足りないぞ

ー後日ー
⊂(´Д` ;)もぉたたせんの大変だから夕飯に薬仕込もう…(墓穴)

ー夜ー
むりぃっ!もぉむりぃ〜!> |寝室
ヤらないと鎮まらん責任取れ>|寝室

お幸せに…

また前回書き忘れましたが、パラ銀の委託案内をpixivとXに出しました。委託h04です。よろしければ見ていってくださいませ(゚∀゚)
さて次こそオメガバ話に戻ろう。5月も秒で終わったなぁ。

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2024
05,27
竹馬作りに土日の全てを持っていかれたのですが、自分でも引く勢いで本日色塗り完成?



ただ、想定していた塗りと全然違う(笑)
結局いつもの塗り方が少しザックリになっただけ、みたいな…。なんかもう最初の肌で滲ませてしまった時点で間違ってたね…。いや、早塗りという点では間違ってないのか。しかしこれでは雑さが目立ってしまう。蟹誕までにもうちょっとどうにかします(゚∀゚`)
でも主線残した筆塗りフルカラーはデジタルにしてから初めてかも。

絶対に到達できないし挑戦もしていないのですが、金子一馬さんがアトラスの表舞台から退く直前頃のカラーの塗り方が好きです。主線残ってないやつ。大天使集合してる絵の神々しさと、潜む禍々しさとかたまらない!(゚Д゚)
あんな風に絵が描けたら最高だなぁ。自分で部屋飾る用に描くのに(笑)

そしてこのタイミングで古くからの同人仲間(とうに引退済)がフォト婚をしたという一報が!
良いねぇ。写真はどれも綺麗だし特別感が半端ない(・ゝ・)
式や披露宴にもそれぞれ意味はあるけど、結局は2人の事ですし。
女子ではないからこだわり無いかもだけど、シュラのお金で好きなだけ衣装チェンジしたらいいと思います…デスマスクが。
まぁ白スーツとカラースーツはいっておきたいね。黒タキシードも。上着脱いだバージョンも。

シュラはデスマスクに満足してもらえれば良いと思っているけど、デスマスクがシュラを格好良く仕立て上げるのにハマるかもしれない(゚∀゚)
普段、流行も取り入れずいつの時代にもある無味無臭な私服しか着ないシュラが輝く日でもある!
この日の輝きが忘れられず、後日シュラにスーツ着て攻めて欲しいと頼み込むっていう(・ゝ・)
この2人にとってはスーツでもコスプレになるのか?(笑)聖衣はコスプレにならないもんね…
そんな、目覚め…(∩゚∀゚)

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2024
05,24
オメガバ話、これ以降エロ的な本番が入ってくるのですがブログでは雰囲気部分のみの掲載になる見込みです。元々そんなハッキリした描写はしていないものの、全年齢ブログですし本番は外しておこうかと(゚∀゚`)pixiv投稿する時に足しておきます(∩゚∀゚)
とは言え、エロメインの話ではないので本番描写も性欲煽るようなものでは無い…(・ゝ・)キリッ
シュラがα化してちょっと乱暴な感じになっていきますが、十二宮戦まではラブラブ描写盛り沢山でいきたいです!(再び間延びする予感…)
これ、最終的に話の流れとか読みやすいようにまとめれるのだろうか…。努力はします…。

で、ここでまた絵を先に描きまして↓コレを仕上げようかと。



今見るとデスマスクが華奢ね…。あと最初からシュラの目の位置が気になっていて、やっぱり気になるけどこのままいくと思う…(・ゞ・)修正…するか?うーん。
こちらカラーですが丁寧塗りではなくザックリ塗りをしてみます。この前のアクスタみたいな塗り方で。あれ滲ませとか無いからめちゃ早かった。どうなるかな。普通に塗ると時間かかりすぎるので色々試してみたいなぁと。

そして週末は竹馬を作らねばならない。竿竹とか買って切って作るガチなやつを(笑)
その後オメガバ話の続きいきます。

そうしたらもう蟹誕準備だな…(゚∀゚)
蟹誕にはとっくにオメガバ話終わってるつもりでしたが微妙な感じになってまいりました。
でも蟹誕2024は一生に一度ですからね!
ブライダル↑以外には多色風イラストといつものチマ4コマ描きます(・ゝ・)ノ

あ、どうでもいい話ですがウチ設定で、結婚までするのは赤い眼設定のデスマスクとシュラと考えています。いや正確に言うと婚約になるのかな?永遠のフィアンセ(笑)この2人は正式にどうこうっていう手続きしないから。神にも誓わない。アフロディーテに誓うだけだから(笑)
容姿変異の無かった青眼デスマスクは特に何の劣等感も抱いていないのでシュラの保護欲もそこまで発動していない。

しかし自分の中で何パターンの山羊蟹が派生しているのだ…(・ゝ・(゚∀゚)
①復活後、聖域を出て同棲する赤眼デスマスクの山羊蟹。盟は不在のまま。
②復活後、シチリアを別荘にして聖域に留まる青眼デスマスクの山羊蟹。盟も復活。
③生まれ変わりEND「名前を持たない男」の山羊蟹。盟の存在あり。
④オメガバース「深淵」の山羊蟹。盟は存在していない。

パロディを省けばざっくりこんなんかな?絶対に自分しか区別ついてない(笑)

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2024
05,23
 最後にもう一度、とシュラに迫ってみたが呆気なく失敗した。しかしシュラは誘惑しようとするデスマスクに緊急抑制剤を使おうとはしなかった。目的は果たせなかったし思い通りになってくれようともしない。でも薬を使わず抱き締めてくれただけで、昔よりも受け入れられたという事が嬉しく思える。
――これはオレがチョロい、って言うのか…――
 今回はこれで気持ちが鎮まっていったものの、きっと直ぐにまたシュラを求めてしまうだろう。Ωである事と、自身の心が好きな人を求めずにはいられない。Ωに負けると誰彼構わず抱かれに出てしまう恐ろしさは残るが、大丈夫だ。シュラが食い止めてくれる。ずっと見ていてくれるはずだから。
 あれから普段通り過ごし発情期を終えたデスマスクは、巨蟹宮にある私室のソファーでシュラの上着を4着抱きながら朝食のパンを食べていた。聖域に戻って来た夜は以前デスマスクがごねたためシュラも巨蟹宮に泊まり、翌朝知らぬ間に磨羯宮へ戻っていく。デスマスクが起きた時、枕元にシュラの上着が追加されていた。直接渡せばいいと思うが最近は寝ている間に追加されている。
――こうやってサービスも良くなったし――
 番がいなくても頑張れる…。そう言い聞かせ、食事を終えたデスマスクは早速仕事への準備を始めた。

 発情期が終わり巨蟹宮で一夜を過ごした後、朝早くにシュラは磨羯宮を目指して十二宮の階段を上っていた。こんな早朝、任務へ向かうか帰る者くらいしか外に出ていないだろうと思い、デスマスクに上着を与えたシュラは上半身裸に小さなボストンバッグという不審な姿になっていた。
「ちょっと…どういう状況でそうなったのか興味が湧いて仕方ないのだが、聞いていいか?」
急なカーブを抜けると、半笑いの震えた声がシュラにかかる。黄金聖衣を着たアフロディーテが岩に手をついて立っていた。
「…今から仕事か」
「あぁ。で、君は仕事帰りでそれか?慌てて服を着忘れた…というワケではないだろう。そこまで鈍いとは思いたくない」
「服ぐらいどうでもいいだろ」
「いや良くないだろう!どうせ巨蟹宮にいただろうし、私ではなくサガに遭遇していたらどう言うつもりだったのだ?ここにきて気が抜けていないか?」
 サガの名前を出されて言い返す言葉が出なかったシュラはそのままアフロディーテの横を通り過ぎようとした。
「あ、待ってくれ。ちゃんと真面目な話があるのだ」
 通過しようとするシュラの腕を掴み岩陰まで寄せると、アフロディーテは辺りを見渡してから声を低めて話し始める。
「君たちがいない間、サガに聞かれたのだ。デスマスクに好きな相手がいるのではないかと。α以外でな」
「…俺は知らない」
「君に聞いてない。私が聞かれた話だ。まぁ、αとΩになってからは疎遠気味なのでわかりませんと言っておいたぞ」
「そうか…。俺もとっくに聞かれていたが、あいつの本心はわかりにくいからな」
「フッ…そんな格好で巨蟹宮から出てきてよく言うよ」
 アフロディーテの呆れた笑いに対してもシュラは表情を崩さなかった。
「なぜ服を着ていない?聖域で堂々と朝帰り、もうそこまで関係が進んでしまっているのか?だとしても服は着るよな」
 アフロディーテも理由くらい知っていてあえて聞いているのか、というしつこさだ。朝帰りくらい何度もしている事だし、どうせ今さら言葉を濁したところで最初からデスマスクのシュラに対する気持ちはバレている。その逆はどこまで読んでいるのかわからないが。
「ハァ…服はあいつにくれてやった。Ωは私物を欲しがるだろ?」
「ふぅん、服を剥ぎ取るほどとは重症だな。まぁβに想いを寄せても香りは無いし、物に縋るしか無いのだろう」
 取られたわけではなく自らデスマスクに与えただけ…とは言い返さない方が良いだろうと思い、シュラはアフロディーテの思い込みを訂正しなかった。シュラなりに少しでも想いを形にしているつもりなのだ。
「それにしてもサガはデスマスクを番にでもしたいのか?そういう気持ちは無さそうに思えるが…邪悪な方の企みか?」
「サガは…邪悪な方は番にしようとしている。ハッキリ俺に言ってきた。それに備えデスマスクに幻覚をかけようとしているのだ。反抗される事も無く、デスマスクにとっても良い夢を見させてやれると…」
「…それで好きな相手を探っているのか…。無理矢理奪うより一手間掛けて大人しくさせた方がスムーズではあるが、とことん自分の事しか考えていないのだな」
 顎に手を当てて考える素振りを見せたアフロディーテは視線だけ持ち上げてシュラを見る。
「で、最終的に君はサガとやり合うのか?デスマスクを渡す気は無いのだろう?」
「あいつが拒否し続ける限りはサポートする。清らかなサガも番を持たせる事には積極的だが同意無しの関係には否定的だからな」
 アフロディーテの強い視線を正面から受けてシュラも真っ直ぐ見つめ返した。一瞬の間を置いてアフロディーテの方が瞬きをする。
「フ…私でも力になれそうならばできる限りサポートしよう。デスマスクのためにな。決して早まるなよ?αに対してどうにもならなければ私を頼れ。デスマスクだけ守り切っても意味がないのだ。君も共に残らないと」
「あぁ、あいつを一人残すような事はしない。どうせ…俺が手を下せなくとも自らついて来るだろう」
「だから!二人だけで無理はするなよ!三人でやってきたんだから!」
 わかってない!と怒るアフロディーテはシュラの目の前に三輪の薔薇を出して見せた。
 三人でやってきた。最初はそうでもなかったが、サガが問題を起こしてから聖域の事は何もかも三人だけの秘密。サガが三人を動かしているようで、三人がサガを動かしていたと言える点もある。二人だけで抱え込まず、三人で挑めば違う道が開けるかもしれない。
「…そうだな。第二の性によりバラバラになってからもお前には随分と助けられてきた。良ければこれからも面倒に付き合ってくれ」
 アフロディーテの手から薔薇を受け取ったシュラは、ニヤりと笑い掛けて再び階段を上っていった。その後ろ姿をしばらく眺めていたアフロディーテがもう一輪薔薇を出して口元に当てる。
――あんなにも鋭かったか?…シュラの歯…――
 αのような姿を見てから突然身震いしたアフロディーテは、手にしていた薔薇を勢い良く地面に突き刺してから気を取り直し、任務へ向かって行った。

ーーー

 6月下旬、デスマスクが22歳を迎える数日前。発情期に備え隠れ家へ出発するためデスマスクは巨蟹宮の私室でシュラを待っていた。
 Ωになってから毎年誕生日は発情期の真っ只中だった。ピークに重なれば部屋で一人きりとは言え、今となっては毎年聖域を出てシュラと二人で過ごしているのだから高待遇とも言える。ピークを過ぎて部屋から出てくると、いつも誕生日ケーキ代わりのつもりなのか軽いシフォンケーキやチーズスフレ、アイスケーキのようなものが用意されていた。改まって「誕生日だから」と出されるわけではない。デスマスク自身もシュラの誕生日にケーキを買うことは無い。シュラが少し家を空けてスナックを買って来る事はよくあることだが、ケーキっぽいものを買って来るのはこの6月の時だけだった。なので、きっとそういう事なのだろうと思って毎年食べている。
――来年、あいつの誕生日にケーキでも買ってやるかなぁ…――
 別に友人同士でも誕生日を祝ったりするものだろう。ショートケーキを買って、おめでとうくらい聖域で言っても怪しまれないはずだ。そうとなればシュラが好きそうなケーキ屋を探さなくてはな、と楽しくなってきた。

 しばらくイタリアにあるケーキ屋の場所を何件か思い浮かべて待っていたが、それにしてもシュラの迎えが遅い。16時くらいに行くと言っていたのにあと少しで17時だ。普段シュラが遅刻する事はあまりない。早すぎる事はあるが。午前の予定が長引いて遅れるなら連絡を寄越すタイプである。デスマスク自身はルーズなところがあるので何も考えず待っていたが、一度気になると不安が増してくる。
『おいシュラ!今日だろ?いつまで待たせるんだ!』
 シュラのコスモを探り呼び掛けてみたが返事は無い。…聖域には、いる。
――…まさか、サガが何か…?――
 不穏な空気を感じたデスマスクは慌てて巨蟹宮を飛び出し磨羯宮へ向かった。

「シュラァ!」
 磨羯宮にある私室への扉を開け放ち、大声で呼び掛けたが誰もいなかった。居間のソファー脇にはシュラの鞄が置かれている。開けてみると荷造りはされており、予定通り出発しようとしていたことが窺える。
「何してんだ…。双魚宮…いや教皇宮かっ!」
 シュラのコスモはここより上から感じられた。デスマスクは教皇宮を目指して駆け出したが、念のため双魚宮に立ち寄った。
「おいアフロォ!シュラは来ているか?!」
 双魚宮の庭にいたアフロディーテはデスマスクがかつて…Ωが判明する前の頃のように、何の気兼ねもなく自分の元へ来た事に驚いた。
「へ?デスッ…いや、シュラは来ていないが…」
 その言葉を聞いたデスマスクは舌打ちすると、また直ぐに出て行ってしまった。
「…何を急いでいる?」
 デスマスクを追うように宮内へ戻ったアフロディーテは魚座の黄金聖衣の前でふと足を止める。
「シュラが教皇宮へ向かった気配はあったが…確かに戻って来ていないかもしれないな」
 特別な人を探し慌てるデスマスクを思い返し、ため息を吐いたアフロディーテは黄金聖衣を解放した。

「クッソ!サガ!手ぇ出すなよ!絶対に…絶対に…シュラを、奪わないでくれ…っ…」
 やはりシュラは双魚宮にもいなかった。更に上に在ると。ここが十二宮でなければ一瞬で向かえるというのに。ただ走るしかないもどかしさ。いつもは遠く感じない教皇宮への道がやたら長く感じる。
 やっと見えてきた扉の前に人気は無く、強い念力で開けたデスマスクはスピードを落とすことなく中へと滑り込んだ。

ーーー

「フッ…遅かったな蟹座よ。お前はあの時も遅かった」
 サガは教皇座におらず、跪くシュラの目の前に立っていた。毛先まで髪を黒く染め、視線はシュラを見下ろしたまま。既にやり合った後なのか教皇の仮面が床に転がっている。
「シュラァ!」
 動かないシュラの元へ駆け寄ろうとしたデスマスクは途中で足を止めた。
――あ、ヤバい…だめだ…!――
 頭がぐわんと揺れる。咄嗟に息を止めたがそんなこと意味も無く…。
――αの、フェロモン…!――
 デスマスクが足を止め、その場でフラつき始めるとサガはシュラから視線を外しデスマスクを見た。その瞬間、シュラの体はαの威圧から解放されたものの床に崩れ落ち、すぐに立ち上がろうとしても力が入らない。
「山羊座に口を割らせようとしたがまぁ強情な奴だ。それともこいつは本当に知らないのか?お前の気持ちを」
 サガはシュラの元から一歩一歩デスマスクへと近付いて来る。
「や…やめろぉ…サガ…番は、嫌だってぇ…」
 動悸が強くなってきて体は熱を帯び始める。抑え込もうとしても無理矢理発情させられていくのがわかる。それが、怖い。
「嫌は知っているがαと番うのがΩの定め。そして黄金Ωのお前に相応しいのは私しかいない。どうしてもと言うのなら今であれば聞いてやろう。お前が想う奴の名を言ってみろ」
 サガが目の前に来ると遂にデスマスクは立っていられず床に膝をついた。体が熱い、ぼんやりする。コスモ…コスモなんか、燃やせない…黄金なのに、たかがαのフェロモンに負けてコスモが燃やせない!

「デスマスク!」
 掠れた叫び声と共に力を振り絞ったシュラが駆け付け、サガの目の前からデスマスクを引き剥がした。デスマスクは夢中でシュラにしがみ付き、胸元に顔を埋めて必死にシュラの匂いを嗅ごうとする。
「あつい、しゅら、いやだ、さが、いやだぁ、しゅら、しゅらがいい、しゅらがいぃ!」
「デス、喋るな…」
 デスマスクを隠すように抱き締めて頭を撫でる。シュラにもデスマスクの動悸と熱が伝わり発情させられていくのがわかる。鎮まれと願いながら抱き締め続けても熱は上がっていくばかり。
「ハハッ…やはりお前だったか山羊座よ。蟹座のこの強いフェロモン…喋らずともお前に向けられているのはわかる!クッ…蟹座の事など好きでもないのに妬けるなっ!それが腹立たしい!」
 サガが放つαの圧が増したと同時にデスマスクの体がビクンと跳ねた。シュラの胸元から顔を出し、ゆらっと首を回してαを探す。
「デスマスク!駄目だ、見るな!」
 シュラはサガを見つけてぼんやりしているデスマスクを再び抱き込もうとしたが、強い力で突っ撥ねられた。
「デス!聞け!聞こえるか?!あれはサガだ!」
「ぃやめろぉっ!」
 視線を自分に向けさせようとしたが、急に抵抗を始めたデスマスクはシュラを突き飛ばしてサガの元へ這って行く。それを捕まえようとしてもサガに睨まれて足が動かせない。
 今まで青銅、白銀、不意打ちとは言え黄金のαとやり合った経験はあった。なのにそれが全く役に立たない。聖衣を着ていないせいではない。そもそもの力が抑え込まれて発揮できない。これが黄金α最高峰の力というのか。なぜそれがこのような者に与えられてしまった?なぜ自分はβに生まれた?
 βであったからデスマスクの側にいられた。デスマスクを知り、第二性に惑わされない愛が生まれた。αから守ってやれるのは自分だけであるはずなのに、なぜβにはその力が与えられない?神はなぜそのようなことを…
 サガの足元まで来たデスマスクはそこで座り込み、シュラが見ている前で首元に手を掛ける。
――やめろ、デスマスク、駄目だ、やめてくれ…!――
 すっぽり首を覆っている保護首輪のホックを震える手で外していき、やがてパサリと床に落ちた。"教皇"に買ってもらったという金の首輪が露わになる。
――駄目だ、外すな!それだけは、デスマスク!――
 あれほど好きだと縋ってきたくせにαの前では何の力も想いも役立たないΩの弱さに苛立った。何もできないβの無力さに苛立った。これほどまでに愛しているというのに届かないのか。これほど深い二人の愛を神はまたも見捨てるのか。…許せない、自分の無力さもデスマスクの無力さも宿命も何もかも。
 噛み締めたシュラの唇に血が滲む。
 自分は本当にもう何もできないのか?αに対抗できる力は残されていないのか?瞼を閉じてみても絶望と無念さからか自身の中には暗い闇しか見えなくて、何の希望も光も見えず、全ての感情も想いも黄金の輝きまでもが真っ暗な闇の穴へと吸い込まれていくばかり。…ならばいっそ、自分もデスマスクもこの闇の中へ落ちてしまえたら…!βだからとか、デスマスクがβを望むとかもうどうでもいい!拒まれようが、例えデスマスクを傷付けようとも殺してしまおうとも誰かに渡すのだけは嫌だ!オレは必ずお前も連れて行く!
 勢い良く目を見開いたシュラの前でデスマスクは金の首輪にも手を掛け、カチ、と外してその首輪を捧げるように掲げた。顔を上げ、首を傾げ、サガに向かって微笑んだ頬に涙が煌めきながら流れていく。
――お前はもう、涙を流すことしかできないのか…いや、まだ、涙を流すことができるのか…!――
 シュラはニヤっと笑った瞬間、胸が強く打ち、何かが体を突き上げる衝撃が走った。溜め込まれていた想いの全てが深淵から解き放たれ、腹の底から低い声が轟く。

『 ヤ メ ロ オ ォ ォ ! 』

 ふ、とシュラの方を向いたデスマスクの周りで涙がキラキラと散った。と同時にデスマスクは強い力でサガから引き剥がされ、離れた場所に投げ飛ばされた。手にしていた首輪が甲高い音を響かせながら宮内を転がっていく。
「…山羊座っ…貴様…!」
 シュラは荒い息を吐きながらサガの前に立っていた。血が沸騰しているかのように体が激しく熱い、コスモが燃えるのとは違う。牙を剥き出しにして、真っ暗な瞳がサガを睨み付ける。
「デスマスクはオレのものだ、お前にも、誰にも渡せない!あれはオレのものだ!」
「クッ…それが、お前の本性かっ…」
 サガの顔は笑っているものの一歩も動こうとしない。いや、動けないというのが正しかった。
「ハハッ、そんな狂気…恐ろしいな。大切なはずのΩをも殺してしまいそうだっ!」
「デスマスクを壊すも殺すもオレの手でそれが叶うのならば構わない。ただ、絶対に誰にも渡しはしない!」
 シュラの聖剣が容赦なくサガに向かって放たれた。顔を歪ませたサガは片足を軸にユラリと身を返し直撃は免れたが、余裕があるわけではない。ギリギリ片足を動かせただけだった。聖剣は教皇宮の柱を傷付け宮内が揺れた。
「デスマスク!」
 直ぐにデスマスクの元へ駆け付けたシュラは倒れていたデスマスクを抱き起こすと、その姿に胸が高鳴った。

 デスマスクは泣いていた。
 綺麗な瞳で、とても綺麗な涙だった。
 サガから引き離された悲しみではなかった。シュラの豹変に悲しんでいるわけでもなかった。
――これは俺がデスマスクを愛していたという事が伝わった、喜びの涙…――

 シュラは牙を収め、沸き立つ衝動を抑え込んで微笑んだ。
「デス、すまん…大丈夫か…」
 涙がポロポロ溢れていく瞳であまりよく見えないのだろうか。何度も瞬きを繰り返してからデスマスクの口元が震えた。
「これ…お前の、匂い…?」
 そう言われて、シュラは今とても爽やかな匂いに包まれている事に気付いた。それは自分の匂いではない事もすぐにわかった。
「デス…お前のフェロモン、こんな香りだったのか…」
「え…?わかんの?…わかんのぉっ…?オレの…っ…!」
 嗚咽に声を詰まらせるデスマスクの首元に顔を埋めて確かめる。間違いない、この爽やかな甘い香りはデスマスクから出ているもの。
「あぁ、わかる…これはお前の匂いだ…」
「うそぉ…っ…オレもっ!オレも、わかるってぇ…!お前のぉ!」
「そうか…そう、なのか…!」
 抱き締め返してくるデスマスクを強く抱いて、シュラは自身に起こった事を考えるよりも感じた。
 しかしこの変化は同時に危機感も呼び覚ます。シュラはサガを探した。今ならばサガの匂いも感じ取れる。自分以外のαは全て敵。デスマスクにとって危険な存在。
「クッ…とんでもない変異種ばかりだな…今さらお前がαに変わるとは…」
「お前の他人を思いやれない計画がそうさせたのだ。力があるとは言えやり過ぎるとこうなる」
「フン、所詮β上がりのαが。力を呼び覚ましたところで私を超える事はできまい!そのΩを置いていけ!」
 サガの拳が二人に向かって飛んでくる。避ける事はできるがデスマスクが放つ発情フェロモンの影響もあって全員がまともに闘える状態では無かった。シュラ自身もデスマスクの匂いに気付いてから再び熱が湧き上がり、早く愛してやりたいと疼く体の変化は誤魔化せなかった。デスマスクを抱き上げ、扉へ向かって駆け出す。
「逃げるつもりか!今回こそそうはいかんぞ!」
「ハハッ!今回もそうさせてやろう!」
 シュラが扉の前に着くより先に教皇宮の扉が開かれ、艶のある声が響き渡る。
「アフロッ…?!」
「足を止めるな!そのまま行け!さっさとフェロモンの塊を遠ざけろ!」
 駆け付けて来たアフロディーテがすれ違いざまに言い放ち、薔薇を散らしながら一筋の光がサガへ突っ込んで行く。
「クッ!またお前が来るか魚座ぅぅぅ!!!!」
「見苦しいぞサガ!力を持ってしても手に入らないものがあるという事は身に染みて知っているだろう!早く正気に戻れぇ!」

 アフロディーテに甘えシュラは足を止めず走り続けた。彼の事だ、説明しなくても何が起きているのかくらいわかっているのだろう。やり合う二人の罵声が遠くなっていく。
 時刻は夕方、駆け下りていく十二宮の階段には移動中の雑兵や聖闘士も多くいたが、デスマスクを奪わせまいとシュラが放つαの威圧に負け次々と気絶していった。デスマスクはもうすっかりシュラの匂いに夢中でテレポートどころではない。十二宮を抜け、聖域も抜けたシュラは真っ直ぐ駆け続けた。
 やがて隠れ家に辿り着くと真っ先にデスマスクの部屋へ向かい、そのままベッドに押し倒した。

ーつづくー

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2024
05,15
結局パラ銀告知用に蟹誕兼用で1枚描いておくか…とここまで描く(゚∀゚)φ
数日家を離れるのでその間はオメガバ話を考えようかな。タブレットを持っていっても今回は描く余裕無さそうなので。



フォト婚、アルバム1冊分は撮るだろうと思い、その中に絶対ドヤ顔フォトあるだろうって事で(・ゝ・)
BLくささが出せているだろうか…。自分、男女カプも好きなのでBLならBLらしさを出したいとは思っているのですが、まぁデスマスクが乙女ちっくな時点で崩壊気味ではある(゚∀゚`)

デスマスクもドヤりたくなるだろう。相手がシュラであろうと好いた人とゴールインできたのだから(゚∀゚)この日に限ってはシュラよりドヤりが滲み出てそうではある(笑)
そりゃ嬉しいだろうに…一生に一度の記念日なのだ。デスマスクからシュラに不意打ちキス写真とかもあるだろう。あってくれ。浮かれに浮かれてくれ!
そしてその夜の宿泊施設ではオレのターンσ(・ゝ・)bグッ

しかし結婚記念日(正式にするわけではないけど)と誕生日は別日にしそうですね。誕生日は誕生日として祝いたいから、みたいな。黄金聖闘士なだけに良くも悪くも誕生日へのこだわりは持っていそう。デスマスクは数日違えば双子座だったかもで、それだと出会えてないだろうし。

好きカプの円満なシーンは癒しだなぁ(゚∀゚)b

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2024
05,13
グッズ入稿!一先ずブライダルは果たした!(゚Д゚)
納品6/1予定ですのでまたXの方にでも載せます。写真はどうにも画像が重くなる…

唐突な話、吉田戦車さんの「伝染るんです」がバイブルの1つなのですが、そこに登場する「すずめ」が山羊蟹だと良い感じに鬱陶しいだろうなぁ…と思ってから山羊蟹のすずめパロが頭から離れない。



イメージ画

余裕あれば蟹誕用にパロ4コマ描きます。絶対に2羽でいるけどツガイではなく多分オスとオスだよなぁ…ツガイなのか?そこまではわからん。1回だけ2羽が喧嘩して通行人に止められる回があったような。

それでは先ずはオメガバに戻ります。
いい加減、αになると思う(・ゝ・)

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2024
05,10

«流行»

一先ず完成?(゚∀゚`)
背景が寂しいので適当に素材をくっ付けてます(笑)



色鉛筆もしくは水彩用紙ではなく単なる画用紙に水彩絵の具で塗った感もありますね。画用紙で何度も塗るとちょっと表面の紙が溶ける?ボサボサになってくる感(笑)

別バージョンは結局今回見送ってこの2個をまず作ってもらおう(・ゝ・)b
で、蟹誕用にペラ冊子作ってそこにアクスタ絵も入れようかなと。

今年の蟹誕はいつも通りのピクシブ投稿に加え、BOOTHでのペラ冊子無料ダウンロード(内容はピクシブ投稿とほぼ同じだけど編集の差がある的な)をやってみようかと考え中。本にしたい方はプリントしてくださいませという感じで。需要あるかは不明(笑)でもシブで見るより綺麗とは思う。

そのためにマイグッズはここで一旦切り上げて、オメガバ話と蟹誕を並行…できるか?(゚∀゚`)できんよな…交互に作業…できれば。何だかんだもう来月なんですよね…早過ぎないか?
今年のシュラ誕描くの遅かったにしても、もう半年経つのか。

そう言えば前回書き忘れましたがパラ銀37は委託で参加します!
復帰後の3種を出します(゚∀゚)ノ
中身確認したい方はこの機会にどうぞ〜
直参と新刊(但し小説)は秋を目標にしています。決定したらまたよろしくお願いします(・ゝ・)

ーー初対面ーー
(・ゝ・)「シュラデス」←あえてのカタカナ
(゚∀゚`)「…デスマスクです」

(・ゞ・)デスマ… (゚∀゚`)「オレっぴキラキラネームなんだよ…」

ξ゚、ゝ゚・ξ「アフロディーテです」
(・ゝ・)…(゚∀゚)…

ξ゚、ゝ゚・ξ「私もキラキラネームなのだ。よろしく」
(・ゝ・)…(゚∀゚)大変だよなー

(・ゝ・)…

σ(・ゝ・)「何かオレが逆にシワシワネームみたいになってないか?」

ξ゚、ゝ゚・ξエー (゚∀゚)ハイカラだって〜

ーそれだけー

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2024
05,08
想像以上に塗りが色鉛筆になってしまい、デジタルなのに結局アナログ感が抜けないっていう。



もっとボテっとした塗りをしたかったのだが…(゚∀゚`)
かなり小さくなるので細部まで塗ってもなぁと、あまり色を重ねてないのも色鉛筆感が増した原因かもしれない。ちびキャラだからもっと色鮮やかで良いと思うけどくすませてしまう(笑)コレ4色分解されるので刷り上がりは更にくすむんですが、個人的には好きな色合いになる見込み。

話逸れますが、同人誌印刷の大陽さんが遂にRGBカラー再現を導入するらしく期待が高まるものの、自分次の新刊も単色か2色刷りになる予定なので使う機会がない!(´・ゝ・)
小説本も今の勢いだとA5/二段組で150〜200頁の本になりそうなので極力単価を下げたいです。いや、今の時代2色刷りもフルカラーもほぼ同じ値段ですけどね…気持ち、若干…

このままシュラデスも似たような塗りでいくか。

〜シュラが5歳から18年間貫いたデスマスクへの愛〜

園児↓
(・ゝ・)「デスくんを本物のお婿さんにしてやるには先ず愛よりお金が必要だ」(超現実主義)
(´・ゝ・)「でもシュラくんはまだお仕事ができないから稼げない…」

(`・ゝ・)つ ( 母 )( 父 ) 
「母よ、今日からお手伝いのご褒美がほしい!」

(・ゝ・)
こうしてシュラは5〜8歳は家の手伝いで小銭を貯め
9〜12歳は勉強も武道も好成績を上げる事で小銭を貯め
13〜15歳は早朝から新聞配達のバイトを始め、文武両道好成績もキープし
16〜22歳は学校終わりにバイトを掛け持ちし

この18年間、デスマスクとは顔を合わせる事はあったものの「忙しい」と断って2人の時間はほぼ無かった。デスマスクだけではなく誰とも遊ばなかった。
シュラに好意を抱いていたデスマスクはその態度に熱も冷めてしまい、真剣だったのに適当な事を言われたんだと苛立ち、憎しみが増すように(゚皿゚´)

そして23歳、大学も卒業し選ばれし12人のみが合格する特殊な職業に就職(デスマスクもいる)したシュラは遂にデスマスクをお婿さんにするための軍資金が貯まり、18年越しの約束を果たすべく彼の元へ向かう。

(・ゝ・)「もしデスマスクに相手がいたら?関係ないな」

18年かけて稼いだお金には、愛しか無いのである…

愛と恐怖は紙一重(゚Д゚)

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2024
05,05
エルマニの方がちびキャラっぽい(゚∀゚`)シュラデスももっと輪郭丸めるべきか…



時代的に結婚式やるなら中世貴族みたいな格好になるんかなと描きました。いや、平民だと大層な服なんて着ないだろうけど聖闘士サマたちですし一応。
気分を高めるためにずっと上城さんのルイ17世系の曲を聴きながら描いた(笑)

デスマスクもマニゴルドもウェディングドレスを着ない代わりに昔からフレアのモーニングをイメージして描いてます。ボタン1個じゃないこと多いけど。服飾的に実際フレアのスーツが作れるのかは不明…無理ではないはず…。モーニングとか燕尾作れるんだから贅沢に布を使えばどうにかなりそうな。てかV系でスーツではないけど近い衣装は昔からあるな。

エルマニは以前描いた絵をリメイク?リサイクル?と言うか、何かもうこれしか思い付かなかった(笑)



この時の☝︎

ここぞと手無し脚無しバージョンなので誰おまですが非公式感ムンムンで良いかと。
せっかくなのでシュラデスとエルマニの全身も資料として描いておこう。毎回考え直すの面倒なので…。
しかし思った以上に時間がかかっているので私服見学バージョンまで描いていられないかもなぁ…とりあえずエルマニの方がウェディングテンプレ用なので〆切あるエルマニ→シュラデスの順に描いて、時間あれば私服シュラデス追加でいこう(゚∀゚)

アクスタは自分用なのですが、イラスト自体はネップリかペーパーか何かで出そうかと思います。
なんせウェディングジオラマの方は1個2,000円かかるのでとても頒布する気になれない(笑)完全趣味制作。(・ゝ・)φ
どうしても気になってしまう熱心な方は連絡いただければまとめて注文しますが、高くつくのだけは覚悟してくださいませ(゚∀゚`)

さてとりあえず主線ありで塗ってみるかな。

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2024
05,05
結局通常サイズアクスタのウェディングスーツから描いてるっていう。



自分の絵のまま3頭身にするのが難し過ぎて何度も投げ出しながらここまできましたが、単に目が違和感に慣れてまぁいいかと思えるようになっただけな気もします。
3頭身にしたのではなく、子ども時代描いただけな気もする…(゚∀゚`)画力…
おませだな。

園児↓
Σ(・ゝ・)⊂(゚∀゚`)「デスくんしゅらくんと結婚しゅる」
ξ゚、ゝ゚・ξ「デスくんはシュラくんと結婚できないけど、二人でお婿さん役やろうか」

〜ウェディングスーツに着替え〜

(・ゝ・)(゚∀゚`)「クク…シュラくんお揃いだね」

(・ゝ・)つ(゚∀゚`)
「デスくん…諦めるな。シュラくんが大人になったらデスくんを本当のお婿さんにしてやる」

(・ゝ・)(∩゚∀゚)うれぴぃ…

〜18年後〜

(゚∀゚)    ピンポーン>|ドア

(・ゝ・) (゚Д゚)「チッ!シュラか!何の用だよ!カエレ!

(・ゝ・)つ(゚Д゚)
「喜べデスマスク、遂にお前をお婿さんにしてやれる時が来たぞ」

(・ゝ・)  (゚Д゚)
(・ゝ・)  (゚Д゚)
(・ゝ・)  (゚Д゚)「ハァ?」

(・ゝ・)つ「もう式場も押さえた、新婚旅行も予約した。新居も買った。今から衣装合わせに行くぞ」

(・ゝ・)  (゚Д゚)「ハァ?」

(・ゝ・)「中学から新聞配達のバイトを始めてやっと目標金額に達したんだ。全部お前との結婚費用にぶっ込んだ。ダイヤモンドの指輪も勿論用意してきた」

(・ゝ・)つ○  (゚Д゚)…

(・ゝ・)つ○  (((゚Д゚;)))
「そうら左手を出せ、これはお前の物だ。遠慮するな」

(・ゝ・) ((((゚Д゚;)))ピィ…
「俺は出来もしないのにデカい口を叩く奴が嫌いでな、とんでもなく待たせてしまったがお前との約束がやっと果たせるんだ。こんなに嬉しい事はない」

(・ゞ・)つ<; ´Д`)))「こっ…怖ぇえよぉぉ!!誰か助けてくれぇえ!」
「さぁ行こうかデスマスク。お前が言い出した事だからな、忘れたとは言わせないぞ」

ーお幸せに…ー

問題はどう塗るか…。
主線あり?無し?無しは似合わないか?ベタ塗り?グラデ?
時間かかるけど色々やってみるしかあるまい!

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2024
05,04
 冥界に最も近い黄泉比良坂に聖闘士が滞在するのはコスモの消費が激しく限界も早い。既にエイトセンシズまで目覚めていそうな乙女座のシャカであっても例外ではないだろう。長く耐えられる力は強さよりも素性なのだ。聖闘士の中でも異質な能力を与えられた蟹座のみ、肉体のままでの耐性を得ていた。

――今日も途切れず死んでいくなぁ。10年以上見ているが人類滅亡しねぇのが不思議だぜ――

 デスマスクは始末した者たちを確認するために黄泉比良坂まで来ていた。10年以上ここの管理をしていれば自分だけではなく他の聖闘士が殺しただろう者たちも何となくわかる。特に黄金に殺された者は自分が死んだ事に気付いていないパターンがあった。一瞬の出来事で苦しみを感じる間も無く死ぬのだろう。デスマスクの技こそそうだが、ここ数年はシュラも腕を上げたのかそういう死者をよく見かける。認識できていない者たちは死の行進に疑問を持ち離れてしまうので「お前は死んだから戻れ」と促すのだ。初めは素直に移動しないが、だいたい外で供養が行われる頃には自然と列へ戻って死んでいく。それでも納得できず怨みがましい者や、遺体が見つからないだとかで供養されない者は黄泉比良坂の地に留まり続け、デスマスクを見つければどうにかしろと縋って来るのだ。
 死んでしまえば第二性など関係無いが、αよりもΩであった者が多いと感じた。それは巨蟹宮に張り付く死面たちも同じだった。番関係にあったαとの別れには魂だけとなっても耐えられないというのか。首輪を着けたデスマスクを見つけては「お前なら理解できるだろ」と言わんばかりに迫って来る。魂ですら未練がましく朽ちていけば醜くなるもので、そんなお前の姿を番が見たら逃げ出すだろうと思った。死ねば番関係など解除され自由となる。こんな所でゴネていないで死を超えていく方が先が開けると思うのだが、そう判断し切れるような冷静さも失い醜態を晒し続けるのだろう。いっそサガくらいの欲望や深い愛を秘めていれば未練を糧に先へ進めそうだが、そこまでの強さも持っていないから中途半端なのだ。

――死んでもαやΩ性に振り回されるなど…神は最悪なものを生み出してくれたな――

 浮遊しているデスマスクを掴もうと真下で亡者が積み上がっている。デスマスクはわざわざ地に降りると、憂さ晴らしに亡者のかたまりを蹴散らし、それでも向かって来る者は蒼い焔で焼き消した。彷徨い続ける者たちを処理できないことは無い。ただ蟹座であっても非常に疲れる行為なので気まぐれでしか行わない。

――…帰るか…――

 現世では醜い闘争が目に入り、あの世でもそれは変わらない。守護する巨蟹宮に帰っても死面が恨み言を叫び続けている。それでもって自分はΩ。好きでもない癒しにもならないαとの番を迫られ、聖戦が始まれば命懸けで十二宮を護らなくてはならない。
 アテナはいない。サガのために?世界のために?平和なんか聖戦が無くても既に乱れている。護る理由なんか無いだろう。ただ自分が負けることは許せないというプライドの為だけに巨蟹宮を死守することになりそうだ。こんな状況、誰かに嘆いても理解できないだろうしわざわざ言うつもりもない。我ながらよく精神状態が保つなと感心する。いや、発情期でそこそこ発散されるからこそ保つのか。そこまで考えられているとしたら自分を蟹座の黄金聖闘士かつΩに貶めた神は本当に最悪な存在だ。

 黄泉比良坂から巨蟹宮へ戻り、私室への扉を開けてデスマスクは止まった。直ぐに扉を閉め、足早に居間へと向かう。
「…こんな夜に急ぎの用事か…?」
 明かりが漏れる居間の扉を開けるとシュラがソファーに座り待っていた。ただシュラの姿を見ただけなのに一気に心のモヤが解れていく。表情筋も力が抜けて垂れた。
「どうしたんだ?」
 振り向いたシュラは緩んだデスマスクとは逆に硬い表情のまま立ち上がるとデスマスクの前まで来て左手を軽く握り取り、低く小さな声で呟く。
「サガが動き出すかもしれない、気を付けろ」
 今更…と思うが余裕の無さそうなシュラの姿に緩んだ心が再び強張っていくようだ。
「…何か、あったのか」
 声を落として聞き返すデスマスクの耳元に顔が寄せられる。
「お前を番にしようとしている。遂に本音を吐いてきた」
「あぁ…」
 あえて伝えていなかったがデスマスクは知っている。動揺も見せず黙っている様子にシュラは苛立ち、握っていた手に力を込めた。
「幻覚を仕込まれるかもしれない!知っているだろ?サガが使う…!」
「知っている。しかし俺を操りたいのならαのフェロモンだけで十分だろう」
「お前に情けをかけてやるつもりらしい。せめて好きな相手と番う幻の中で生きれるようにと」
「ククッ…フェロモンの届かない場所で死なれちゃあ困るって事か。とことん俺に失礼だな」
 握られた手はそのまま、デスマスクは片手でマントを引き抜くと手を使わず聖衣を一瞬で外し、全て床に落とした。アンダーウェアと金の首輪だけが肌に残る。シュラの手を引いて二人並んでソファーに座った。
「…それって俺がお前のこと好きだってバレてんのか?」
「確信はしていないようだが疑っている」
「はぁ…お前と番う幻かぁ…。夢のようだな…」
 そう軽く微笑んで呟く言葉が本気ではないと理解できてもシュラの不満は増した。さらに強く手を握り込んでしまい「痛っ!」と漏らしたデスマスクが振り払う。それでもシュラは再びデスマスクの手を捕えて握り締めた。
「な…何だよ、強引だなっ」
 シュラの方から迫られる事に慣れていなくて胸が高鳴った。ぶつかった黒い瞳の奥、デスマスクを捕えて引き摺り込もうとする深淵がそこに。
「あ…」

 ――待て…――

 真剣なシュラの顔が寄る。キス?!と思い切って瞼を閉じたデスマスクの唇に触れたのは、自分より硬めの髪の毛だった。期待外れの感触に何が起こったのかと確認すれば、シュラの頭は首元に埋まり首輪にキスをしているようだ。

「…落ち着いているな、嫌ではないのか」
「はぁ?…んなの、嫌に決まってんだろっ!」
 知っているはずなのになぜそんな事を言う?一瞬のときめきが苛立ちに掻き消される。
「それ聞いてグズグズ泣けって思ってるのか?嫌だ、助けてって言ってほしかったのかよ?辛くてもそんな見苦しいことしねぇよ!」
 顔を埋めるシュラを一度引き剥がしたが、直ぐに両手が伸びて抱き締められた。
「すまない、嫌なことを言ってしまって」
――気持ちが抑えられないんだ…――
 そんなにも余裕の無いことを言われてしまうとこちらも戸惑ってしまう。いつもみたいにお前だけは落ち着いていてくれよ。引っ張られてしまう。
「…いや、大丈夫だデスマスク…俺が、できる限りのことはするから…」
 大丈夫じゃねぇだろ。何ができる?αの最高峰相手にβのお前が。最悪死ぬぞ?…いや、死ぬつもりなのか?
「…俺が脳みそやられたら、お前が方をつけてくれるのか?」
「そういうつもりではないが…可能性はあるな…」
 その可能性しか無ぇよ。シュラに愛される幻を見ながらシュラに殺られるなんて、どう見えるのか。サガがシュラに見えて、シュラはシュラのまま?それともサガに入れ替わる?わからないがその時になればどうでもいい事だな。迎えに来てくれるのがシュラって事を忘れても、殺してもらえば番も解除され思い出すだろ。あの世で。
「…まぁ、アイオロスの時より殺しの腕は上がったようだし殺るなら綺麗に頼むぞ。ただ斬り口でお前の仕業とモロバレだな」
「ククッ…愛が無いとは言え、番を殺されたサガの暴走を止められる自信まではさすがに無い」
「お前の場合、もう"止める理由が無い"じゃねぇの。自殺の手間が省けてラッキーくらい思いそうで何か嫌だぜ…」
 苛立ちも次第に消え、抱き締め続けるシュラの背中にゆっくり腕を回した。
――来るのか、ついに――
  聖闘士として最悪の最後が。神のために、世界のために死ぬのではない。何かの役に立つわけでもない。きっと聖域もめちゃくちゃになる。アフロディーテには最後まで苦労をかけるばかりだ。ただ愛を貫くだけの事が俺たちには許されない。

「…Ωでなければ、何もかも違っただろうに…」
 何も考えず呟いてしまった言葉にシュラはデスマスクを見つめ、軽く笑った。
「Ωでなければお前が俺なんかを好きになる事も無かっただろうな」
「……そうか……」
 それはシュラもαであれば自分を愛さなかった、とも言えるか…。Ωという価値が無ければ見向きもされない存在だったかもしれない。α同士で愛してもらえるほどの魅力が自分にはきっと無かっただろう。第二性が判明する前までの関係を思えば間違いなくそうだ。そう考えるとαであったとしても自分は無力な存在のように思えた。
「俺がお前の世話をする事も無く、つまらない日々をそう自覚しないまま過ごしていただろう」
「弟子くらい育成していたかもな」
「ハハッ、弟子か。カミュのように教皇の正体を知らなければ気楽だが、知っていて育成するのは罪深い」
 Ωでなければ、せめてシュラがαであれば…。何度も未練がましく考えては手に入らない現実に一人で落ち込んだ。ついに口から溢れてしまったが、シュラになら…シュラとなら、弱音を共有するのは苦ではないかもしれない。家族ですら招かない境地にまで自分はシュラを受け入れて、また自分の事も受け止めて欲しいと望むほど心を許してしまうとは。そんな存在が自分にできてしまうなんて昔はとても考えられなかった。
「…Ωで、良かった…のか?」
「Ωでなければどうなっていたか、なんて結局はわからないからな」
 腕に力がこもって、デスマスクの頭はシュラの胸元へ引き寄せられる。
「俺はお前のことを正しく知ることができた。その点はβで良かったと思っている。俺がαであればこうはなれなかった。お前を避け続けて何も知る事ができなかっただろう。お前が最初からαであった俺を番に選んでいたとも思えない。お前はαの俺を望みはするが、お前が好きなのはβの俺だろ?」
「……」
「α化を願うお前の望みは叶えてやれなかったが、これで良かったと思っている。αに比べ力が劣るとは言え"絶対に負ける"など考えてくれるな。黄金の意地を見せてやる」
――それは、どんな結末だろう――
 もしもシュラが耐え抜いたら、デスマスクに魔拳が向けられるのを防げたら、サガが番を諦めたら。今のままでいられるのか?フェロモンは?このまま聖戦が始まったら?アテナが生きていたら?

「デスマスク、俺は仲間を半殺しにしたような奴だぞ?大丈夫だ。…ククッ…すまん、これしか言えないな…」
「サガをも半殺しにしてやるって?ハハッ!冗談に聞こえねぇよ」
「大丈夫だ、番にはなれないが…俺たちは一人ではない」
「そうか、だったら…大丈夫だな」
 何が、なんて考えない。今更子どもみたいなやり取り。
 ハッキリ言って欲しいのは変わらないがちゃんとわかる。シュラが愛を注ぐのは誰であるか。サガに奪われるかもと知って居ても立っても居られなかったくらいだ。ここまでされて愛が無いなんて考えられないし、否定されてもそれこそ信じられない。わかる、お前の気持ちが。
「番になれなくても、俺たちはβとΩで良かったんだ。それで良かったってことにしてくれ」
 シュラとしても自分がαではない事に悔しさが全く無いわけではないのだろう。デスマスクを抱く手に込もる力強さからも感じられる。Ωを愛してしまった以上、αという存在は切り離せないのだから。
「なぁ、俺もさ、お前がその時居なくても一人でも最後まで足掻いてやる。大丈夫だって。黄金の意地は俺にもあるぞ」
「あぁ。最後は俺が全部どうにかするから、お前らしく暴れてくれ」

 そのままシュラは巨蟹宮に泊まり、翌朝磨羯宮へ戻って行った。あれだけ切羽詰まって押し掛けて来たというのに夜はやはりソファーで一人寝てデスマスクに触れる事はしなかった。聖域では下手に触れてフェロモンが漏れてしまう可能性を危惧したかもしれない。
「このまま、キス止まりで死ぬのか…」
 しかも一回きり。シュラがβであったからこそ好きになれたのは確かだ。αになったらどう違う?シュラはどう変わる?シュラになら…部屋を荒らされても今は許せるし、逆に自分の着衣などに嫉妬しそうだ。そんなものではなく進んで自身を捧げられる。我慢しないで貪るならこの体にしろ、って。
「あの場所なら…」
 季節は春。予定通りであれば4月の終わり頃に再び発情期は来る。サガがすぐに動かなければ、二人きりになれるチャンスはある。どうしても肉体関係が諦め切れないのもΩのせいだろうか。
――もう一回だけ、最後に…――
 諦めの悪い自分に嫌気が差しつつも"それがオレだし"と開き直り、デスマスクも巨蟹宮を出て任務に向かった。

ーーー

「3ヶ月とはあっという間だな」
 4月の終わり、シュラはデスマスクの発情期に備え聖域を離れる旨を教皇宮まで報告に来ていた。サガ自身がデスマスクを狙っていると聞いてから警戒し続けているが、邪悪なサガは姿を現さず息を潜めている。デスマスクに確認をしても特に襲われそうな雰囲気は出されていないとの事だった。
「今回もデスマスクの事を頼むぞ。お前に発情期の世話を任せてからもう7年になるのか。長く付き合わせてすまない」
「…構いません。同い年の仲間ですし、デスマスクとしても気を遣わず過ごせるようです」
「そうだな。お前には気を許している。可能であればαと番になれない本心…気になっている相手がいるのか聞いてみてほしい」
「……」
「デスマスクのこれからのためにな。任せたぞ。そのために行かせるようなものだ、今回は」
 素早く顔を上げたシュラは教皇座から見下ろす仮面の奥を睨み付けた。軽くニヤけた口元に覗く鋭い犬歯。隠された瞳が紅く光ったのを確認したシュラは、小さく舌打ちをしてから頭も下げず教皇宮を退室した。

 磨羯宮で鞄を手に取り足早に巨蟹宮へ向かう。急いでデスマスクの元へ行けば食卓で椅子に座り、のんびり間食を食べている最中だった。
「早いな、まだ時間ではないだろ」
「…なるべく早く出たいと思って来たのだ…が、まぁいい。それを食べてくれ」
「…ならばお前も食べるか?早く無くなる」
「お前が食べたくて食べているのだろ?」
 何を食べているのか近くに寄って見てみれば、たまにデスマスクが食べている小さなパンだった。丸めたドーナツみたいな形のものが5〜6個紙袋の中に入っている。貰う気など無かったがデスマスクが一つ摘んで差し出したのでそのまま受け取って食べてみた。中はもっちりしているが意外と皮はカリカリだ。
「…パン…?」
「揚げパンだな。ピザ生地だけど」
「この緑色は海苔か」
「お前でもちゃんと味わかるんだな。これオレの地元ではポピュラーなやつ」
 へぇ…と呟いて飲み込んでしまうともう一つ手渡しながら「シチリアでなく生まれた方な」と付け加えられた。シチリアで生まれたわけじゃない、とは以前聞いた事がある。本土出身か。今更だが生まれ故郷も知らない事に気付いた。自らヒントをくれたのだから、聞けば教えてくれるだろうか。
 手渡された揚げパンを眺め、どうすればコレの正体がわかるのかぼんやり考えているシュラを引き戻すようにデスマスクが声を掛ける。

「またサガにでもおちょくられて急いでいたのか?」
「ん?……まぁ……」
 改めて言われてしまうと自身の短気さが未熟で恥ずかしい。デスマスクの事に関して少し不穏な空気を見せられただけでこれだ。サガに遊ばれていると言われても仕方ない。
「いや、いいよ。不安を抱えるより安心していたいしな」
 そう言って食べ終えたデスマスクは紙袋を折り畳んでから捻り潰し、ゴミ箱へ放った。水筒の水を飲むとシュラにも「飲め」と手渡す。受け取ったシュラが一口二口飲む間にソファーに置いてある荷物を取りに行って準備が整った。鞄の口を開け「入れろ」という仕草をするので、手にしていた水筒を中に収める。
「じゃあ早く安全な場所へ行こうぜ」
 準備万端になって出発を待つ姿が妙に可愛く見える。これが遊びの旅行とかであれば最高なのだろうに…。もう、そんな余裕など無い。シュラも鞄を持ってデスマスクの先を歩き、隠れ家へ向けて出発した。

 デスマスクの発情期は隠れ家に到着した3日後に始まった。ピークもおよそ3日。4日目の夕方になるといつも通り部屋から下りてきてシャワー室へ向かう音が聞こえる。その音を居間で聞いていたシュラは今夜から食事も摂るだろうと準備を始めた。出すものは何でも食べてくれるが、発情期明け最初の食事はペンネかリゾットが最も食べやすそうだと学んだ。さすがイタリアはパスタの種類も豊富で粒状のものまである。それをリゾットのようにしたものも喉通りが良いようだ。

 棚の中を覗いて何を作ってやろうか考えていると居間の扉が開く音が聞こえる。足音がソファーへ向かわずシュラのすぐ後ろまでやって来た。
「今日から食べるだろう?今から準備する。待っていてくれ」
 一番早く作ってやれそうなレトルトのリゾットを手に取って立ち上がったシュラは、デスマスクの姿を見て動きを止めた。
「…何かあったのか?服は?」
 デスマスクは裸にバスタオルを羽織っただけでぼんやり立っている。シュラは手に取ったレトルトの箱を置き、部屋へ戻そうとデスマスクの背中を押した。
「まだ辛いのか?着替えないのなら部屋へ戻ろう」
 シュラに押され居間を出て、階段もゆっくり上っていく。特に抵抗など無くデスマスクは誘導されるまま自室へ向かった。今回はまだ抜けていないのかもしれない…部屋に着いて扉を開けた。そっと背中を押してデスマスクを滑り込ませ、閉めようと扉に手を掛ける。
――途端――
 突然振り返ったデスマスクは勢いよく扉を開け、驚いた顔のシュラの服を掴み部屋の中へ一気に引き摺り込んだ。
「っぅぐ!」
 勢い余ってシュラは床に叩き付けられ、デスマスクがその上に跨がり覆い被さる。
「っおい!こらっ…何をする!」
 デスマスクの力は万全ではないためシュラの抵抗で呆気なく上から落とされ床に転がった。
「薬が効かないのか?落ち着「本当に抱けねぇの?!」
 上体を起こしたデスマスクが這ってシュラに擦り寄る。バスタオルも外れて床に落ち、うっすら桃色に染まる白い裸が絡み付く。
「αのモノにはならない、あとは死ぬか生きるか…もう抱かない理由無いよな?何でしてくれねぇの?発情期が癒えないだけでβに抱かれる事に問題は無ぇよ?」
「…お前は、妊娠してしまうかもしれないだろ…βでも気になるんだ…」
「Ωの避妊薬がある。お前だってゴムとかすればいい」
 デスマスクの手がシュラの太腿から胸元へと滑る。もう一度ゆっくりシュラを押し倒して上に乗り上げた。
「指だけでも、入れてみろよ…」
 左手を掴んで誘導し、尻を撫でさせる。少し首を傾げてシュラの表情の変化を読もうとしているようだ。そのまま指先を谷へ向かわせようとするもシュラは肉を掴んで抵抗した。男らしく肉薄そうに見えるが、Ωの特徴がそうさせるのかもっちりして柔らかい。
「…んぅっ…」
 まだ残る発情期の名残りか、掴まれた刺激にデスマスクは腰を捩った。シュラは空いていた右手でも尻を掴み、軽く揉んでみせる。
「ちょっ…とぉっ!」
「これくらいなら、してやる」
 ただ両手で尻を揉んでやるだけでもデスマスクは掴んでいた手を離し、力が抜けてシュラの胸に肩を落とした。逃れたいのか求めているのか不規則に腰が揺れ、涙混じりの喘ぎ声も漏れていく。
「ちがっ…ち、ちがぅうっ…」
 胸の上でシュラの服を握りしめ、腰が揺れると頬が擦れる。次第に脚の力も抜けていき掲げていた臀部も崩れ落ちた。
「っ?!ひゃぁっ」
 悪戯に指を一本、谷へ滑り込ませて撫でればそれだけでピクンと腰が跳ねて左右に揺れる。想像を超える反応にシュラは思わず動きを止めた。

「すまん…理解しているつもりだったが、かなり敏感になるんだな…」
「っうっ…ぅぅっ…くっそ…くそぉっ…!遊びじゃねぇんだよぉっ…ゃあっ…!」
「あ…すまん、遊びではないのだが…」
 びくびくと震える体を気遣うつもりで触れていた手をサッと離し、胸元に埋まる頭を撫でるとデスマスクは怒ってシュラの手を掴み再び尻に触れさせる。
「中途半端にすんなっ!せめてイかせろっ!あぁ…もぉっ…!」
 もどかしい!と、シュラに腰を擦り付け始めた。派手に悦がる腰つきも何故か"芋虫みたいで可愛い"とか思ってしまい、こんな状況だというのに性欲よりも愛おしさが増すばかり。気持ちいいのか、そうかそうか…と先ほどよりも優しく丁寧に尻を揉んで可愛がれば、我慢できない!とばかりに硬く小さな攻めの象徴を押し付けてきた。
「もぉっ…なんでだよぉっ…!」
 ポロポロと涙を落としながらデスマスクは体を震わせ、快感を解放する。シュラは尻から手を這い上がらせて、震える体を抱き締めた。そして一息吐くが…
「っ…!…おい…デス、掴むな」
 胸の上で恨めしそうにシュラを睨み付ける瞳。荒い息を吐きながらデスマスクはシュラの股を片手で掴んだ。
「おまえ…本気で枯れてんのか…?」
 全く反応していないわけではないが、勃っているとも言えないシュラに対して不満を露わにする。自分はまだまだ足りないと言えるくらいなのに。声が震えてしまう。
「抱けねぇのって…オレに勃たねぇってこと…?」
「いや…違う、これはたまたまで…。俺はちゃんとお前で抜いたことがある。そういう欲はある」
「え?あんの…?」
「…あぁ…ある。だからお前に魅力が無いとかそういう心配はしなくていい…」
 そこまで告げるとデスマスクは体の力を抜いて全体重をシュラに預けてきた。自分とほぼ同じ体格で重いはずだが、押し潰される圧力と速く打つ心音が愛おしく苦痛にならない。

「ほんとお前…変な奴…全然思い通りにならねぇよぉ…」
「ククッ…俺をどうにかしようとするのは無理だろ。聖闘士の能力からしても俺とお前は違い過ぎる。俺から見たらお前も変な奴だぞ」
「エッチしたいとか思わねぇの?βでも性欲無いわけじゃねぇだろ…」
「今のお前を見るとちょっと怖いな…嫌ではなくて、少し触れただけでここまで敏感だと本番に耐えられないのではないかと心配になる」
 背中をさするように撫でただけでピクンと震える。デスマスクはそんな体を誤魔化すように身じろぎし、顔を反対に向き直し笑ってみせた。
「ハッ!黄金相手に何言ってんだ。そんなヤワじゃねぇよ…発情期で何日も発散し続けるってのを何年も繰り返してんだぞ…」
「知っているが、それでもお前を壊してしまいそうで怖い。βだからそう思うのかもな。それを打ち消して抱けるほどの性欲も含めてのαとΩなのだろう」
 そう思うとαとΩがお互いにフェロモンを持っているというのも納得する。媚薬、麻薬のように理性を飛ばす事ができるようになっているのだろう。傷付け合っても際限なく気付けない、気付かない。だから深く首筋を噛んでもお互い耐えられるのだ。
「お前になら壊されてもいいってくらい好きなんだから…遠慮すんなよ…」
「俺が良くない。大事にさせろ。玩具だろうと何だろうと好きなものは大事にするだろ。Ωの本能が良いようにされていいと望んでも俺はしてやらないからな」
「それは優しいようで逆に俺に対してのドSになっているのだぞ」
「知らん」

 Ωらしい言葉に、自分はαとは違うという気持ちが出て少し強く言い返してしまった。不貞腐れた顔のままデスマスクはそれ以上何も言わず、黙って瞼を閉じてしまう。しばらく抱き続けているとやがて寝息が聞こえてきたため汚れを拭い、抱き上げてベッドに戻した。シーツの上には以前シュラが渡した鍛錬着が置いてある。眺めていると眠っているデスマスクの手がゆるゆる這って、それを掴み抱き込んでいった。
――起きてるのか?…無意識…?――
 抱き込んで丸くなるデスマスクを見ていると期待に応えてやれない自分への悔しさが込み上げてくる。βの穏やかな愛情では満足させてやれない。ずっとデスマスクは我慢している。それでも…αになるのは怖いし、なれるわけでもない…。
 ベッド脇にしゃがみ、着ている上着を脱いでデスマスクの手元に置いてみる。しばらくするとそれも掴んでスルスルと抱き込んでいった。そして嬉しそうに微笑んでいるのだ。
「…デスマスク…」
 落ちていたバスタオルを掴み体に掛けて、髪を撫でる。
「…好きだ。ずっと、愛している…」
――ずっと…――
「デスマスクッ…」
――好きだ、好きなんだよ…離したくない!聖域に戻したくないっ…!――

 それでも逃げる事をせず正面から突破してやるという気持ちは黄金聖闘士の性か、βからくるαに対しての従順さと真面目さと挑戦心か。
――見せてやるからな、俺の気持ちを――

「愛している…」
 シュラはもう一度呟くと、軽く微笑んで部屋を出た。

ーつづくー

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2024
04,30
家族間で咳が移り、また別の家族が発熱し色々とアテが外れるGWですが皆さまは楽しく過ごせている事を願います(゚∀゚`)
一家全滅の中、自分だけ変わらず元気です(・ゝ・)b

次はオメガバ文更新しようと書いてましたが区切りまでもうちょいかかりそうなので「4月中にシュラα化!」と言った手前、無理でしたと言いに来ました(´・ゝ・)
次の更新でもまだα化しなくて、多分その次くらいです。何かまたグダグダ絡んで伸びてます。

もう4月は丸潰れ状態でしたね…終わっちゃったのか…。昨年11〜12月頃もそんなだったような。それでエルマニ漫画延期してオメガバ文始めて未だに終わってないっていう(゚∀゚`)
昨年から2〜3ヶ月おきに子の体調不良のサイクルが来てる気がします。コロナ中の方が全然元気だったなぁ。病院とか行く症状出なかったし。

で、あれよあれよと期間限定ブライダルアクスタの発注シーズンも到来ですよ。
1年越し…今回こそ作ってみたいけど、気分が変わってウェディングスーツではなく私服で良いかと考えています。式ではなく「式場見学に来ました〜♡(∩゚∀゚)」みたいな、より幸せボケMAXな感じで(笑)

式とか撮影当日ってやっぱ緊張してしまうと思うのですよ。見学が花畑クライマックスだと思うんだな。お金の問題はシュラが解決☆と思っても、見学だけなら使う気無い高級式場庭園も入れてしまうし。

シュラはこだわり無し、デスマスクが決める(定番)
でも何故かデスマスクのウェディングスーツと装飾だけはシュラが決める(・ゞ・)σビッ

デスマスクが自分で決めた物と違うスーツや花を提案されて最初は「何でダメなんだよ!」と思うけど、一度帰宅して「一生に一度だし、あいつの好みに合わせてやる方が良いかな…」と考え直す。シュラが口出しする事自体が珍しいので、考えるほど嬉しくなってくる(∩゚∀゚)

…いやもうこれ私服とスーツ両方作るか…?
通常アクスタと差込口サイズ同じらしいからブライダル1個と通常1個で入れ替えできるし。誰か代わりに色んなパターン描いてほしい(笑)山羊蟹10個くらい並べてみたい。もう描ける知り合い全員同人引退してるけど(笑)

そんなわけで、オメガバ文の本日更新は無理と悟った瞬間から猛烈な勢いで描いたネタを置いておきます(・ゝ・)φ





次のオメガバ文更新したらアクスタ絵を描こうと思うので、オメガバ話の完結はまた少し遅くなっていきます(゚∀゚`)申し訳ない。
シュラα化→番になってラブラブ→十二宮戦の死別→冥界再会→結末。
終わりは見えていますが語彙や言い回しの限界で時間かかりますね。修正の事は考えず、一先ず完走したい!

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