2024 |
04,20 |
「今回で再検査は最後にしようかと思う」
「あぁ、もうお前の性が何でも俺には関係無ぇからそれで良いぞ」
22歳を過ぎたシュラの再検査はやはりβに変わりなかった。元々はα化を懸念するデスマスクを納得させるために始めた再検査だが、シュラが何者であろうと好意を隠さなくなった今ではβにこだわる意味がもう無い。1月下旬、発情期に合わせて隠れ家へ来た二人は居間のソファーに座り昼食を摂っていた。
「万が一αになれるのならオレサマの番になれ、βなら一生俺の世話してろ。俺はお前以外、誰とも番にならねぇから。それなら世話してくれるのだろ?」
デスマスクの言葉にシュラは小さく唸るだけで返事をしなかった。ハッキリしてくれないのは今更なのでデスマスクは気にしない。
「サガにはなるべく時間をくれって言ってあるからよ、それまでは逃がさねぇからな」
サガがやっとデスマスクに直接番の話をしたということはシュラも聞いた。デスマスクは断ったから、と言うだけだが話の内容はそれだけだったのだろうかと引っかかっている。サガからの猶予が無くなった時、デスマスクはどうするつもりなのか。自分が想定する未来が選ばれるのか?それは二度目の、聖域に対する裏切り。それとも…
――俺を、裏切るのか――
昔のデスマスクに対する印象のままであればそういう事も考えに入る。しかし側でずっと見ていれば自分に対してそんな事、絶対にしないだろうと思えるようになった。自分やアフロディーテの事は裏切らない、はずだが、最近シュラの中でデスマスクに対する執着が増してきているせいか後ろ向きな思考が邪魔をする。
「…なぁ、考え過ぎて歯の食いしばりヤバいぞ、血ぃ出てるって」
心配というよりは呆れたように指摘されて、シュラは下唇からの出血に気付いた。
「結構前から気になってたんだけどよ、お前ってβの割に犬歯が尖ってるよな。だからαっぽく見えたんだろうな」
自分ではあまり意識した事が無い。言われて親指で上顎犬歯のとがりを確認してみるものの、昔からこうだったと思えてよくわからない。確かに数年前から唇を噛みやすくなった気はしていたが、ストレスから変な癖でもついたのかと思っていた。
「ちょっと"イー"ってして見せろよ」
言われるまま噛み合わせを見せると、向かいのソファーから身を乗り出したデスマスクがシュラの犬歯を人差し指でそっと撫でる。途端、ピクッ!っと驚いたように指先が引いたのでどうしたのかと顔を見ると、どこか困ったような表情を見せた。
「何か問題でもあるのか?」
「…いや、俺にはなにもわかんねぇけど…」
低い声で呟きながら身を引き再びソファーに座り込む。それから落ち着かないようで何度も首を撫でていた。
「早めにここへ来ているがもう始まりそうか?」
「…わかんねぇ、けど部屋行くわ。始まらなければ夕飯よろしく」
デスマスクは最後に両手で首を撫でてから勢いよく立ち上がり、歩いて自室へ戻って行った。予定日より四日前に移動をしても発情期の始まりが早まる時もある。毎回ではないので1年を通して見れば規則的な方だと思うが、1日遅ければ…とヒヤッとする。しかし聖域で始まった事はない。もしかすると早まる理由が"自分とここで二人きりになること"にあるのではと心の底で考えたりもする。βのくせにΩを振り回す自分。シュラはニヤ、と口元を歪ませてから舌で犬歯を探った。改めて歯列を順に触れていくと他の歯より高さがある気がする。こんなに出ていたか?αや他のβと比較しないとよくわからないが、アフロディーテに歯を見せてくれと言うのはハードルが高い。
立ち上がったシュラは洗面台まで行き、鏡の前で噛み合わせて確認した。
――いや、αはもう少し出ているな…――
そう納得するが、安心するよりもなぜか不満が残ってスッキリしない。
――この程度では駄目だ、綺麗に噛めない。ただ傷付けるだけになってしまう…――
…今更何を思うのか。βの自分がどれだけ上手く噛んだ所でデスマスクにとっては傷にしかならない。それは例えαであっても、相手がΩでなければ意味がない。αがαを噛んだところで…
『噛んでほしい!噛んでくれ!』
『頼むよ、どうせ死ぬのなら』
『オメガバースにはムカついて仕方ないというのに、憧れてしまうんだ…』
「っ?!」
『噛んでくれ、噛んで、頼む、噛んでくれよぉ…』
頭の中をこだまする声はなんだ?デスマスクのものではないのに、わかる。デスマスクで、あると。
『一つになれなくても俺はお前のものになりたい。死んでも、死体になっても俺はお前のものだから誰も触れるなって。動けなくなってもお守りになるからさ。そう思わないか?骨まで貫く勢いで頼むよ。肉が朽ちてからもわかるように…』
――夜、森、とても寒い、雪が降っている、誰かを抱いて、暗い闇の向こうへ歩き続けて…――
「…また、この景色か…」
自分の内側を探るとよくイメージされた景色がこれだ。始めは夢のようなものと思っていたが、起きていてもこうして急に頭の中で広がる事がある。相当因縁深い何かを深淵から呼び覚ましてしまったようだ。しかし意味が見い出せない。これは過去なのか、現在なのか。それとも未来?最後まで辿り着けない。歩き続けた先に何がある?何があった?
"今"に戻るつもりで再び鏡を見る。見ているのに、見られている気がする。深緑の瞳の奥から見つめ返す真っ暗な瞳の影。味方なのか?デスマスクを守る。力になるのか?デスマスクを守るための。βである自分がデスマスクの望みを叶える、唯一の…。
いや、そんな考え方ができる間はβを抜け出せない。もっと自分の欲望を曝け出せるのなら俺は変われるかもしれない。たけどそれはデスマスクをどうしようもなく傷付けてしまいそうなんだ。あいつはβの俺しか知らない。あいつが好きなのはβの俺なのだろうと気付いてしまった。αを望まれても、それがあいつの理想通りでいられるとは限らない。αになれるものならデスマスクを手にしたい!しかしβのまま寄り添い合って終わりを迎える方が、良いのではないか…。
ーーー
ーーー
シュラの歯に触れてから部屋へ戻ったデスマスクは慌てて抑制剤を飲むと、首を押さえながらベッドの上に転がった。腹の奥が熱い、首筋が疼く。くすぐったいような弱いムズムズ感が不快で手で触れるだけでは解消されない。もっと強い刺激で消してほしい。噛んで…噛まれて悪い血が出ていけば治るかもしれない。噛んでほしい、噛まれたい、噛まれたい…!
「っふ…ぅ、ぅう…っ…」
首筋に左手で爪を立てながら右手を下着の中へ差し込み、体の熱を癒やそうとする。傷になったらあいつまた気にするかな…。戦いで負傷しても気にしないくせに、個人的な負傷を見つけると直ぐ聞いてくる。鬱陶しいがちゃんと見てるんだなって、嬉しくなってしまう…。
「ぁあっ!つらいっ…!」
シュラを想うほど熱くなる。邪魔な服を脱ぎ捨ててから体を仰け反らせ、いつもより大胆に乱れた。握り込む手よりも腰が揺れてしまう。いくら好きで抱いてほしいと思っていても、こんな姿はとても見せられない。発情期が始まった頃はもっと甘い妄想で満足できていたはずなのに。
ふと、椅子に置いた鞄の口からずっと持っているシュラの鍛錬着が見えた。あれからもう一着貰っている。ずるりとベッドから床に転がり降りて、鞄の中から二着の鍛錬着を引き摺り出す。ベッドへ持ち帰り新しい方に顔を埋めた。こちらももう、匂いは残っていないけど…。腰が揺れる度、頬擦りをしているようだ。
――本当に抱いてくれたら、ここがシュラと触れ合って…――
そこは頬だろうか、胸板だろうか。腕?髪の毛?なんでもいい!
ムズムズする首筋に再び強く爪を立てる。もっと痛みが欲しい。シュラ、シュラがいい、しゅらがいい、だれでも良くない!ぜんぶ、しゅらにして欲しい。いたいのも、きもちいいのも、ぜんぶしゅらに…。オメガが、じゃなくて、オレが…。
「…しゅぅらぁぁっ…!」
――鋭い痛み、暗い夜に獣の瞳がハッキリ見える。口元に血が滲んで、ヴァンパイアかオニがいたらこんな感じなのだろう。あぁ…もしかしたらヴァンパイアのモデルって、報われない愛の果てにオニと化したαだったのかもな…。可哀想に、そんな顔できるお前のことは、怖くねぇから…。さぁ、連れて行ってくれ…――
「ハァ……ハァ……」
首筋から手を離してみるが、血が出ている感じは無い。それでも強く指を食い込ませたため痛みが全く引かなかった。痣になりそうだ。快感が弾けた瞬間に見えた、妄想にしては鮮明なαの顔。嫌な気はしない、シュラがαであればあんな風だろうと考えなくてもわかった。嫌じゃない、嫌じゃないからもっと俺を噛んで貪ってほしい。深く傷付けて良いから…それは死んでも、お前を忘れない傷になるだろうからさ…。βなんか辞めて、奪いに来てくれよぉ…。
ーーー
春、命を繋いだものたちが目覚め、芽吹く頃。
「デスマスクはまだ決められないのか…」
「蟹座は優柔不断とも聞きますので」
「フフッ…占いなど興味無さそうなお前がそう答えるとは。ならばそんな蟹座を山羊座として正してやってはくれないか」
教皇宮にあるサガの私室へシュラは直接呼び出された。テーブルを挟んでソファーに腰掛ける。任務報告の後、再び来るよう告げられたため着替えをして聖衣は着ていない。私室は教皇座よりも気が抜けるのか邪悪なサガが顔を出しやすい場所だった。今さらだが空気が読めないフリをして聖衣を着たまま来た方が良かったかもしれないと悔やむ。
「デスマスクは素直に言うことを聞く男ではない。時間がかかる」
「それは分かるが今に2年が経つ。急いだ方がいい。このまま聖戦が始まってしまうとデスマスクを守り切れないぞ。アフロディーテでは駄目なのか?」
「…そこは、双方その気が無いようです」
「友情が邪魔をして割り切れないのか、男が駄目なのか…白銀の女性αでも良いのだぞ」
「おそらく自分より力を持たない者には惹かれないと思います」
「…やはり、私が…」
ため息と共に小さな声で吐き出されたサガの言葉をシュラは聞き逃さなかった。
「Ωには番が必要なのだ…お前には理解できないかもしれないが。デスマスクは耐え切れず自傷行為もするのだろう?」
「もう何年も薬が効いて落ち着いている。前回だけは首に痣を残していましたが、それきりです」
「あくまでお前が見れる範囲だろう?彼を裸にして確認しているわけでもあるまい」
そう言われると何も言い返せない。前回、発情期のピークを終えて姿を現したデスマスクは真っ先に首筋の痣について説明を始めた。隠れ家では首輪を外しているとは言え冬であったし、タートルネックの服を選べば隠せる位置だ。それでもわざわざ首筋を晒して見せてきたのだから信頼されているものと思っていた。確かに胸や腹に傷ができたとして、それも見せてくれるのだろうか。
「いや、そう深刻に考えるな。デスマスクも今では私よりお前に気を許しているというのはよくわかる。だからこそ番の話にはあまり口を出さないようにしてきたのだ」
「俺に任されても一度失敗している。焦らせると自棄になって何をやらかすかわからない。だから時間が必要なのです」
「時間…か…」
ソファーの背もたれに体を預け、宙を眺めて一息つく。
「デスマスクは積極的にαを探しているわけではないのだろう?この2年、彼は何をしていた?時間も限りがある。それともお前なりに何か考えているのか?私はβの考えだけは理解できないのだ…。αやΩの事を情報でしか知り得ないβが、我々の事を理解できていなのと同じように」
サガがシュラの目を見る。αの圧がじわりと肌を押し始めた。
「デスマスクは逃げ続けているように見える。αに良い印象を抱いていないという事はわかっているが、それでも好いた相手がαであれば喜んで番になると思うのだが?」
「…それはデスマスクに限らず、誰でも同じように思えます。第二性で選ぶのではなく、人で選びたいという想いは…」
「βならではとも言える。思うのだ、彼はαではない誰かを好いているのではないかと」
それがお前ではないのか、と言いたげな瞳。咎められるのではなく嫉妬じみたαが放つ、コスモの歪。
「…素直に言う男では、ないので…」
視線を逸らさず、できる限り"無"を保つ。
「ククッ…言葉にされずとも何年も側にいればわからないものか?お前は本当にデスマスクに興味が無いのか鈍感なのか…」
そこまで言うと、サガは身を乗り出し囁くように
「…もしくはβらしく、彼をかばっているのか…」
柔らかな声をしているというのにαの圧力が重くのし掛かる。シュラは張り詰めた空気を切り替えるつもりでゆっくり瞬きをした。
「あなたはデスマスクが俺を好いているとお考えですか」
わざわざ遠回しに告げられる言葉が嫌味でしかなく、煩わしく思ったシュラは正面から聞き返す。元々そういう性格なのだから下手な演技とは考えないだろう。濁したままの方が疑われかねない。狙い通り重い空気が少しだけ和らいだ。
「αではない、しかし同等の力を有している者と言えばお前しかいないからな。まぁ一つの可能性としてだ。あとは私の想像を絶する程の恋愛潔癖…くらいしか考えつかないがΩでそれは無理がある」
「…仮に、デスマスクが俺を好いているとしたらどうされるおつもりか」
こんなこと絶対に聞けないと思っていたが意外なところで来た好機をシュラは逃さなかった。返事によっては今後について考えやすくなる。
「難しい問題だ。諦めが悪いそうだからな、例えお前に気持ちが無いと知っても素直にαと番うとは思えない。かと言って諦めがつくまで待つというのもあと何年かかることか…」
サガは俯き、そっと握り締めた右手を眺めた。
「ただ、私の拳を上手く使えば…デスマスクにとっても無理を強いる事なくいけるのではと…」
――それは、つまり…――
「例えば相手がお前だと確定できるのであれば、私はその夢を見せてやれると思うのだ」
「…幻覚で、騙すと?!」
サガが持つ技に"洗脳"を引き起こすものがある事は知っている。清らかなサガは使わないが、邪悪なサガは疑い深い従者たちにその拳を振るい効果を確認していた。ただ黄金クラスが簡単に拳を受けてしまうとは思えない。それでもαの力で押さえ付けられてしまえばデスマスクは…。思いもよらない外道なやり方に動揺した。
「一つの処方だ。無理に事を進めて反発されるよりもデスマスクの為になると思わないか?番を持たないΩのままでは危険なのだ」
だからと言って、それはデスマスクを殺すと同意なのではないか…?ただ、デスマスクの力を残すためだけに夢を見せてまで…。
「…幻覚を見せて、相手は誰に…」
「そうなれば相手は誰でも良い。αであればな。恋愛にこだわる者たちは受け入れないだろうが、私のように誰も愛する気が無い者が好都合だろうか…いや、それが最善に思えてくるな…」
「サガよ、さすがにそれは…」
じわり、じわりとサガの髪色が暗くなっていく。やはりお前が出てくるか。
「デスマスクが誰を想っているか教えてくれ。お前の仲間を悪いようにはしない。聖域と世界のために突き止めてほしい」
笑いながら拳をこちらに向けて見せる。それを払い退けてソファーから立ち上がった。
「俺に使うのも止めろ!正気を保て!」
睨み付けたサガの瞳がほの紅く輝き、笑うように揺れた。
「何をそう怒る?デスマスクに早く番ができた方がお前の荷も下りるだろう?デスマスクだぞ?そこまで情が湧くような相手か?」
「デスマスクであろうと何年も共に過ごしてきた仲間なのだ。情くらい湧く!」
「まさかお前、デスマスクに気があるとは言うまい?」
「何でも容易く欲に結び付けるな!βが理解できないというのはそういう所だろう!」
「ハハッ、とことん枯れた男だ」
根本だけ黒く染めた邪悪なサガはソファーに深く腰掛けたままシュラを見上げる。その気になればβのシュラを洗脳させる事も可能なのだろうが…
「まぁ落ち着け、そこまで剥き出しの怒りを見せつけられると流石にゾッとする」
「サガの良心の為にも、お前の欲望でデスマスクに非道な事をするのは認められない」
「わかった、デスマスクが同意できれば良いのだろう。再び話をしてみよう。聖剣を構えるな、部屋を壊して気が晴れるのか?」
逆に諭されたシュラは気を鎮め、話の終わりを聞いてから丁寧に退室して行った。
残されたサガは紅い瞳を輝かせ扉を見つめる。毛先が一気に黒く染まっていく。
残されたサガは紅い瞳を輝かせ扉を見つめる。毛先が一気に黒く染まっていく。
――もっと簡単にΩを手にできるかと思ったが――
Ωに番を与えたいというのは"サガ"の意見として一致している。しかし清らかなサガは相手にこだわった。Ωの愛は底無しに深い。果たされないと悪鬼のように愛に飢え苦しみ続ける。納得のいくαの相手と結ばれてほしいと願うが邪悪なサガはΩを求めた。αでありΩである神の代わりとして君臨するにはΩと番う事が必要不可欠と考えていたのだ。そのΩが黄金の力を有していると言うのならばデスマスク以外に考えられない。愛は無いが究極の力と存在を示すためにデスマスクを手に入れようとしていた。黄金最強のαと称される自身であれば、他のαが出てこようと奪い取る事は簡単と考えていたのだが。
「βのくせに厄介なものを持っている。イレギュラーな黄金のβである故か」
シュラが瞬発的に放った真っ暗な圧はコスモとは違った。深い悲しみと深い愛。そんなものを秘めているとは。
"サガ"の記憶に二人の最期は残っていない。わからない。何があったのか。ただアフロディーテを含め三人の仲は現代と変わらず良好なものだった。初めはアフロディーテとデスマスクがシュラを揶揄う場面が多くて。やがてデスマスクはα抑制剤を飲み始め、副作用で髪や肌から色が落ちていくようになる。すると調子が出ず空元気なデスマスクをシュラが気遣うように変わっていった。デスマスクとシュラがアフロディーテを揶揄い、怒られるという場面も増えた。デスマスクは何を思って抑制剤を飲み始めた?第二性に否定的だったから…だけだろうか?
「…今も昔も、とことん掴めない二人だな」
二人の中ではハッキリした関係なのかもしれないが、側から思うに二人の想いは捻れていそうだ。満たされていない。結ばれても何か悲劇的な終わり方を繰り返してきた事により真正面から素直になれない何か。まさにオポジションを形成する山羊座と蟹座のような。
「壊せるか?それとも悲劇が得体の知れぬ力を呼び覚ましてしまうのか…」
愛を抜きにしても二人の間には強い因縁がありそうだ。それでも聖域を始め世界を支配するにはデスマスクとの番が必要。強行すれば"サガ"も悲嘆に暮れて表に出る頻度が減るだろう。東の果てでアテナが生存しているという噂にも備えられる。
サガは立ち上がり、仕事机にあるカレンダーを手に取り二枚捲った。
――狙いは、この辺りか――
6月を見て、薄く笑った。
ーつづくー
ーつづくー
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