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そこはかとなく

そこはかとない記録
2024
07,15
マニ誕モノは昨日pixivに投稿しておきました(゚∀゚)ノ
で、他に何か無いかとネタ帳のエルマニ文をあさり、既に書いた記憶の無い話が会話だけだったので色々と肉付けしてみました。ちょっと意味わかりにくい気もしますが、記念に。

最初は落書きでも追加で描こうかと思ったのですが、シュラデスと同じUSJネタか指輪物語のエルロンド卿ならぬエルシド卿…とか考え始めたら頭の中がエルシド卿で一杯になってしまったので断念(笑)
まぁ、機会があれば…裂け谷のエルフ王・エルシド卿(・ゝ・)

以下エルマニ文は毎度捏造の「教皇が教皇離れさせるためにエルシドにマニゴルドを引き取って欲しいと頼んだ」前提設定です。お見合いとか許嫁みたいなもの。
この設定も自分の中では「死ぬまでには成就しない(復活後に惹かれ合う)」と「タナトス戦直前に好意は確認できている」のパターンに分かれています。
今回は死ぬ前にそこそこ関係が進んでいるバージョンです。
ではどうぞー(゚∀゚)

ーーー

キスなどした事がない。したいと思った事もない。今、自分でも理解できない衝動のままマニゴルドの頬に触れている。
「……」
「……」
頬に触れて、様子を伺い静かなマニゴルドとしばらく見つめ合うと、何をするでもなく手を離した。離した途端、マニゴルドの顔が不満気に歪む。
「なんだぁ?お前いつも何なんだよ急に触るだけ触って」
「……すまない」
「何に謝ってんだよ、そういう訳わかんねぇのオレ嫌だから」
言葉を待つマニゴルドからそっと視線を外し、エルシドはその場から立ち去った。
「……ったく…全然先に進みゃしねぇ……」

〜双魚宮〜
「ハハッ、エルシドらしいな。そのまま目に浮かぶ」

エルシドとマニゴルドの仲についてはアルバフィカもよく知っていた。アルバフィカにも教皇から「マニゴルドと共に歩んでくれないか?」という話はあったのだ。しかし自身の体質や、恋愛対象としては見れそうも無いと早々に断っている。ユズリハにも勿論断られた教皇は可愛い弟子のため手堅くハスガードかエルシドに頼む事にした。悩んだ末に歳の近いエルシドに頼んでみたところ、エルシドはそれを勅命と受け止めてしまったのか断らなかったらしい。

「しかし意外なのはお前の方だ、もっとこうしろ!と捲し立てず、しおらしくエルシドのペースに合わせているとは」
「別にそんなつもりはねぇ!あいつがどうしたいかわかんねぇから…」
「お前はどうされたかったのだ?引き留めてエル様キスして欲しい〜とでも言ってみろ」
「んなっ…俺から言えるか!」
「おや、そういうキャラでは無かったか。うぶだな」
「うるせぇ!お前にはアルバちゃんキスしてぇ〜って言えてもだな、エルシドだぞ?!冗談通じないだろ!」
「冗談ではないからいいではないか」
「じょっ…!」
勢い付いていた言葉が喉に詰まりマニゴルドの顔が真っ赤になっていく。
「まぁまぁ…私はな、真面目にエルシドに向き合っているのが嬉しいのだ。若干面白いが」
マニゴルドというのは歳上であるはずなのに、どこか子どもっぽいせいか揶揄いがいがあると言うか何かこう、面白い。
「お前、自分からするのではなくエルシドの方からされたいのだろう?」
「!!」
窒息するのではないかというくらい顔が赤くなってからだんだん紫に変色していく。…本当に窒息するかもしれない。
「エルシドが誰かにキスをするなんて前代未聞だろう。された者の優越感は半端ないだろうな…」
「しょっ…ゴホッ!それ以上何も言うなぁ!言うんじゃねぇ!!」
「想像してしまうか?」
「だから言うなぁ!殺すぞ!!」
「……」
想像しただけでここまで取り乱すとは、文句を言う割に本当にエルシドにキスされた時には心肺停止してしまいそうで心配になってくる。

――その時、不意に2人がいる居間の扉が開かれ、背の高い影が現れた。

「へっ…?」
「おや…エルシドとは珍しい。何か用だろうか?」
アルバフィカが声を掛けるとエルシドはマニゴルドを見る。マニゴルドは目が合った瞬間に逸らしてしまった。
「…マニゴルドに用があって来た。連れて行っても良いか?」
「私は構わないが」
目を逸らしたままのマニゴルドからは同意を得ず、エルシドがグッと腕を掴んで引くとフラつきながらもマニゴルドは大人しく引き摺られて出て行った。部屋を出る間際、アルバフィカに戸惑う表情を向けたが何の助けも出してやれなかった。
「…強引さはあるのだけどな…マニゴルドも嫌ではないだろうし」

2人が双魚宮を出た頃、やっとマニゴルドは威勢を取り戻してエルシドに噛み付いた。
「用って何だよ、どこまで行くんだよ」
「どこでも良いのだが、磨羯宮まで来い」
「何しに」
「……もう一度」
「ん?」
「もう一度、やり直したい」
「……何を?」

何をするのか答えてもらえないまま磨羯宮に到着した2人は殺風景なエルシドの私室へ入った。
「……なぁ、何を…すんだよ…」
部屋の扉が閉まって、静かになっただけで急に胸が高鳴ってしまう。わからない素振りをしても何となくエルシドがやろうとしている事が伝わってきて、どうしよう?また不発に終わるのか?終わってほしい?進んで欲しい?わからない、恥ずかしい、早く何かしてくれ!
「っ?!」
エルシドの大きくて傷だらけの手がマニゴルドの頬に触れる。何度目だろう、こうして触れられるのは。
「…もう、謝らない」
エルシドの鋭い瞳がマニゴルドを貫く。逃げられない。心臓に聖剣を突き立てられたかのよう。
「お前が俺を変えた、こんな感情の揺れ…俺には必要の無いものであったというのに」

「必要など…無いと思っていた。この激情を知ってしまったからには、乗り越えねば道は開けない」
「なに…すんの…」
やっと絞り出した声に、エルシドは殺気を解いて微笑んで見せた。ほんの少し目元が緩んだだけだろうに、それだけでも自分への好意が強く伝わってくる。自分自身がそれを望んでいるから、そう感じるのだろうか。
頬を包む親指が唇をなぞって一瞬。
急に寄せられたエルシドの顔。唇が軽く触れ合って、多分、初めてだからエルシドも距離感がわからなくて、本当に一瞬の事で、何が起きたんだろう?キス、した?
「……した?」
心の声が思わず出てしまった俺を見て、エルシドははにかみながら「した」と答えた。
「?…マニゴルド?!」
不意にエルシドの手からマニゴルドの頬がすり抜けて、床にぺたんと座り込んでしまった。エルシドも屈み込んでマニゴルドの肩を抱く。
「まだ…嫌だったか?」
その問い掛けに首を振った。軽い、ほんの触れるだけのキスだったというのに問題はそこではなくて、エルシドにそうさせた高揚感が沸いてきて顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。エルシドはそんなマニゴルドの頬に再びキスをした。
「へ?ぇえっ?!」
「…そう、いちいち驚かないでくれ。俺もこんな感情…愛おしさを抱くのは初めてなんだ」
触れたい、ぎゅってしたい、可愛い、手放したくない。マニゴルドに愛おしさを感じるのは教皇も同じであろうに、それでも自ら手放し自立を望むのは愛おしさの質が違うのだろう。知ってしまった自分はもうマニゴルドを手放すなんて考えられない。幸せになって欲しいと願うよりも、自分の手で幸せにしてやりたい。
「教皇の願いを叶えてやるふりでも良い、お前が俺を心から受け入れられるようこれからも努力する」
「…何で、そんな真面目なんだよぉ…」
始まりは恋ではなかった。お互いに興味も無かった。進展なんか見込めない2人だったのに、エルシドは真面目にマニゴルドと向き合おうとした。話し合って教皇の提案など解消するつもりだったのに、惹かれてしまった。
「俺なんかに本気になって、馬鹿かよ」
「俺を本気にさせたのはお前の魅力だ」
いつ死ぬともわからない2人の関係はどこまで辿り着けるのだろう?今すぐ素直になればそんな不安も無くなるだろうに、できるくらいならとっくにしている。わかっていても限界はある。だから人は後悔するのだ。
「やっと、ここまでこれた。それだけでも俺は嬉しい。愛おしさを知るのは悪い事ではないな。守るために生きる糧となる」

エルシドの言葉を聞いたマニゴルドは自ら少しだけ体を寄せた。
それに気付いたエルシドは微笑んで、もう一度頬にキスをした。

ーおわりー

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